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風神と舞姫と漆黒の狼
作戦決行、そして決着
根本「お前らいい加減諦めろよな。昨日から教室の出入り口に人が集まりやがって。暑苦しいことこの上ないっての」
雄二「どうした?軟弱なBクラス代表サマはそろそろギブアップか?」
Bクラスの教室前。雄二率いる本隊も出動し、作戦決行まであと三分に迫っていた。
根本「はァ?ギブアップするのはそっちだろ?」
雄二「無用な心配だな」
根本「そうか?頼みの綱の姫路さんも調子が悪そうだし、闇崎もこっちの手の中だぜ?」
雄二「……姫路はお前ら相手じゃ役不足だからな。休ませておくさ」
根本「けっ!口だけは達者だな。負け組代表さんよぉ」
雄二「負け組?それがFクラスのことなら、もうすぐお前が負け組代表だな」
伊達「ha!ヤツの口車に乗せられたら終わりだぜ?根本」
根本「わかってる。……にしても、さっきからドンドンと、壁がうるせぇな。何かやっているのか?」
雄二「さぁな。人望のないお前に対しての嫌がらせじゃないのか?」
風太「そっちがウチのクラスの備品にしたみたいにね」
根本「けっ。言ってろ。どうせもうすぐ決着だ。お前ら、一気に押し出せ!」
雄二「……態勢を立て直す!一旦下がるぞ!」
風太「こっちも下がるよ!遅れないでね!」
根本「どうした、散々吹かしておきながら逃げるのか!」
よし、雄二の指示通りにできた。あとはもう一つの作戦の開始を待つだけだ。
雄二、風太「あとは任せたぞ、明久」

伊達「(さっきまでの挑発、まさか!)」
伊達君が何かに気づいたけど、もう遅い!
伊達「おい、おめえら!本隊は囮だ!奴らの狙いは――」
午後3時、作戦開始!明久、思いっきりやっちゃって!
明久「だぁぁーーっしゃぁーっ!」
ドゴォッ
豪快な音をたてて、Bクラスの壁が崩れた。
根本「ンなっ!?」
伊達「ちぃっ!」
教室の奥にある驚いて引きつった根本君の顔と悔しそうな伊達君の顔。
明久「くたばれ、根本恭二ぃーっ!」
明久達奇襲部隊は呆気に取られている根本君に勝負を挑むために駆け寄った。
美波「遠藤先生!Fクラス島田が――」
山本「Bクラス山本が受けます!試獣召喚《サモン》!」
明久「くっ!近衛部隊か!」
まだ教室に残ってた敵の近衛部隊に行く手を塞がれた。
見たところ明久達と根本君との距離は20メートルぐらいか。まだ随分と距離があるね。
根本「は、ははっ!驚かせやがって!残念だったな!お前らの奇襲は失敗だ!」
取り繕うように俺らを笑う根本恭二。
まあ、確かにそうだけど、これでいい。
ここで、急に話は変わるけど教科の特性を説明しようか。
各教科にはそれぞれ担当教師がいて、その先生によってテスト結果にも特徴が出てくる。
例えば、数学の木内先生は採点のスピードが早いらしい。
例えば、世界史の田中先生は点数の付け方が甘いらしい。
例えば、今明久達と一緒にいる英語の遠藤先生は、多少のことには寛容で見逃してくれるらしい。
じゃあ、保健体育は?
保健体育は採点が早くも甘くもなく、召喚範囲が広いわけでも豹しやすい先生であるというわけでもない。
保健体育という教科の特性。それは教科担当が体育教師故の――
伊達「おめえらぁっ!奇襲部隊も囮だ!奴らの真の狙いは――」
ダン、ダンッ!


並外れた行動力だ!

康太「……Fクラス、土屋康太」
根本「き、キサマ……!」
伊達「畜生、畜生、畜生っ!(ギリギリギリ……!)」
康太「……Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む」
根本「ムッツリィニィーーッ!」
伊達「ちっき、しょおぉぉーーっ!!」
俺や雄二率いる本隊が主力を引き付け、明久達が近衛部隊を引き付けたから逃げ場はない。だからこれで、
風太「チェックメイトだよ、根本恭二」
康太「――試獣召喚《サモン》」

『Fクラス 土屋康太
 保健体育 441点
     VS
 Bクラス 根本恭二
 保健体育 203点』

康太の召喚獣は手にした小太刀を一閃し、一撃で敵を切り捨てる。

Bクラス戦、終結。残すはAクラスのみだ!

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あきゅろす。
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