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風神と舞姫と漆黒の狼
9
風太サイド

明久「……言い訳を聞こうか」
午後のテストも無事に終わって、放課後。
明久がBクラス生徒の暴行で千切れかけた袖を手で抑えながら雄二に詰め寄ってる。
雄二「予想通りだ」
明久「くきぃー!殺す!殺し切るーっ!」
雄二「落ち着け」
明久「ぐふぁっ!」
うわ、鳩尾強打……。南無。
雄二「先に帰ってるぞ。明日も午前中はテストなんだから、あんまり寝てるんじゃないぞ」
爽やかに言い残して教室を出て行く雄二。酷い。
明久「うぅ……腹が……」
見るからに痛そうだな。
風太「明久、大丈夫?」
明久「う、うん……。なんとか……。」
風太「そっか。じゃ、先に帰るから。また明日ね。行こ、雷華」
雷華「はいな。ほな、また明日ね。明久君」
明久「うん……。また明日……」
そうして俺らが帰ろうとしたら、姫路さんがまだ教室に残っているのが見えた。かなりの挙動不審だ。まるで何かを警戒してるように見える。
風太「姫路さん、どうしたの?」
姫路「い、いえ、何でもありませんっ」
雷華「何でもないわけあらへんよ。さっきから挙動不審やし、探し物やったらウチらが手伝うけど」
姫路「ほ、本当に何でもありませんっ!」
雷華「でも…」
風太「そっか。じゃ、また明日ね」
姫路「はい、また明日」
雷華「兄さん!?」
風太「いいからいいから。これ以上詰め寄っても無駄だし、おとなしく帰ろっか」
雷華「……わかった。兄さんがそないに言うんならしゃあない。帰るわ」
風太「うんうん。それがいいよ」
そう雷華に言い聞かせ、俺らは教室から出て行った。
俺らがその行動を後から後悔することになるとは知らずに。

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