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風神と舞姫と漆黒の狼
5
明久「うあー……づがれだー」
明久が机に突っ伏した。
とりあえず四教科が終わった。
ただでさえテストは疲れるのに、明久は朝から船越先生とひと悶着あったから余計に疲れただろうな。
風太「明久お疲れ」
雷華「お疲れさん、明久君」
明久「あ、風太に雷華さん、お疲れ」
風太「それで、船越先生の件はどうしたの?」
明久「ああ、それなら近所のお兄さん(三十九歳/独身……お兄さん?)を船越先生に紹介してあげたよ。昨日の呼び出しもその件だったということにしたし」
風太「そっか。ならいいね」
明久「う……ん………」
風太「明久、どうしたの?」
明久「い、いや、なんでもないよ?あは、あはははは……」
風太「???」
ん〜、明久が何を言いたいのかわからないな。
秀吉「うむ。疲れたのう」
いつの間にか近くに来ていた秀吉が答えた。ちなみに秀吉は髪を俺や雷華と同じようにポニーテールにしていた。もしかして明久ってポニーテール萌えなのかな?さっきから俺や雷華の方をちらちら見てるし。
康太「…………(コクコク)」
いつも無口な康太もいる。
雄二「よし、昼飯食いに行くぞ!今日はラーメンとカツ丼と炒飯とカレーにすっかな」
勢いよく立ち上がる雄二からは全然疲れが感じられない。ってかどんだけ食うの?
美波「ん?吉井達は食堂に行くの?だったら一緒していい?」
雄二「ああ、島田か。別に構わないぞ」
美波「それじゃ、混ぜてもらうね」
康太「…………(コクコク)」
康太がうなずいているのは下心のせいだな。島田さんに色気を求めても無駄なのに。
美波「吉井、風太、なんかウチの悪口考えてない?」
明久、風太「「滅相もございません」」
なんて恐ろしい勘なんだ。
まぁ、とりあえず今は待ちに待った昼休み。美味しいものでも食べて元気を出そう。ってか皆なんか忘れてない?
明久「じゃ、僕も贅沢にソルトウォーターあたりを――」
姫路「あ、あの。皆さん……」
風太「おーい、皆ぁ〜」
明久が立ち上がり、学食に行こうとしたところで姫路さんと俺は声をかけた。
明久「うん?あ、姫路さんと風太。一緒に学食に行く?」
姫路「あ、いえ。え、えっと……、お、お昼なんですけど……」
風太「昨日の約束、覚えてる?」
秀吉「おお、もしや弁当かの?」
姫路「は、はいっ。迷惑じゃなかったらどうぞっ」
風太「んじゃ俺も、はいっ」
姫路さんが身体の後ろに隠してたバッグを出すのに続いて俺もバッグを出す。
明久「迷惑なもんか!ね、雄二!」
雄二「ああ、そうだな。ありがたい」
姫路「そうですか?良かったぁ〜」
風太「えっへへへへ」
美波「むー……っ。瑞希と風太って、意外と積極的なのね……」
明久を親の仇のように睨む島田さん。
秀吉「それでは、せっかくのご馳走じゃし、こんな教室ではなくて屋上でも行くかのう」
明久「そうだね」
こんな腐った畳と男の臭いしかしない場所で食べて良いような物じゃない。屋上の気持ち良い空間で最高級の感謝を込めて味わうべきだね。
雄二「そうか。それならお前らは先に行っててくれ」
明久「ん?雄二はどこか行くの?」
雄二「飲み物でも買ってくる。昨日頑張ってくれた礼も兼ねてな」
美波「あ、それならウチも行く!一人じゃ持ち切れないでしょ?」
ん?島田さんが気遣いを見せるなんて珍しいね。一体どういう風の吹き回しなんだろ?
雄二「悪いな。それじゃ頼む」
美波「おっけー」
雄二は疑うことなく受け入れた。明久だったらそのまま連れて行かれてボコられるのを警戒するだろな。
雄二「きちんと俺達の分をとっておけよ」
明久「大丈夫だってば。あまり遅いとわからないけど」
雄二「そう遅くはならないはずだ。行ってくる」
雄二と島田さんは財布を持って教室を出て行った。たぶん一階の売店に行ったんだと思う。
明久「僕らも行こうか」
姫路「そうですね」
風太「んじゃ、屋上にレッツゴー♪」

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