「なんで榊達そんなにくっついてんの?」
「羨ましいですか?」
真雪を真ん中に榊と凛が隙間なくソファーに座っていると、慎哉が指を咥えて三人をそれぞれ見る。
真雪のサイドに陣取る二人はくつろいだ様子で足を組み、慎哉を眺めて余裕の笑みを浮かべた。
その態度を面白く思わない慎哉はテーブルに勢いよく手をつき、乾いた音を立てた。
「俺も入れてー!子猫ちゃん良いでしょ?」
身を乗り出す慎哉に真雪は両隣に視線をやり表情を窺おうとするが、榊は真雪の肩を抱き、凛は真雪の足に手を置き、両者そろって口を開いた。
「私達だけの特権ですから、九条は駄目です」
「お前は邪魔だ」
「酷い!」
真雪が口を挟む隙なく二人は慎哉を斬って捨てしまい、それを不憫に思った真雪はソファーに突っ伏した対面の慎哉に声をかけようと腰を上げた。
「慎哉く……、えっ、キャッ!?」
僅かに浮いた腰には榊と凛の腕が絡まり、あえなく定位置に戻される。
驚いた真雪は目を見開いて両者を見つめた。
「情けは無用ですよ」
「アレは放っておいても問題ない」
少しでも自分を気にかけてくれた真雪に縋ろうとしたのも束の間、慎哉は再び真雪の前で喚いた。
「ここの住人は嫌いだー!」
「こちらの台詞です」
「誰もお前の事を好きな奴はいないだろうな」
「お前等、いつも以上に性格悪いぞ!」
どうする事も出来ない真雪はオロオロするばかり。