翌朝になり、習慣というのは恐ろしいもので、疲れていてもいつもの時間に目覚めた真雪。 「どうせだし、朝食の準備をしよう」 身支度を整え、エプロン片手にキッチンへと向かった。 キッチンに着けば、そこには既に調理を始めている凛がシンクの前で立っていた。 「なんだ、起きたのか」 「癖で……、ついこの時間に起きてしまって」 「そうか」 言葉少ない凛だが、心なしか嬉しそうに目を細めている。 いつものように凛の指示の元、真雪は手伝える事をし、とどこおりなく仕度を終えた。 料理の匂いに釣られたのか和泉が腹を押さえながら、リビングのドアを大きく開いてやってきた。 「腹減った〜」 「おはようございます」 「おはよ真雪。凛、今日のメシは何?」 和泉はキッチンにいる真雪に挨拶をし、テーブルにサラダを置く凛に近付き背中を叩くと、一瞬その身を強張らせた。 「――ッ」 「ん?どうした凛。背中怪我でもしてんのか?」 「……猫に引っかかれてな、躾けの途中なんだが」 横目で見られた真雪は凛との情事を思い出し、昨夜言われた言葉と重なった。 喉の奥で笑いを噛み殺す凛に、真雪は真っ赤な顔をして落ち着きをなくしていた。 |