「隠すな、折角出した声を俺に聞かせてくれないのか?」
「だっ……て……」
「なんだ?」
「恥ずかし……、こんな……声」
真雪は凛から顔を逸らし、口元から手を離そうとしない。
「意識のハッキリしている今、真雪の全部を感じさせてくれ」
穏やか口調で話す凛は真雪の頬に手を伸ばし、顔を自分の方に向けさせた。
熱を孕んだ凛の目が、以前身体を重ねた時の疼きを甦らせる。
絡まる視線すら真雪には媚薬に感じられ、薄く開けられた唇に凛の指が差し込まれた。
「誰も見た事のない真雪を、俺に見せてくれ」
「ふ……ぅ、ン」
凛の指は真雪の口の中をくすぐるように動き、上顎や舌を撫で上げる。
驚いた真雪は凛の手に自分の手を添え、いやらしい指の動きから逃れようとする。
そして足に置かれていた手がまた、上り始めた。
「ひゅ……!ふ……ぅ……んん」
凛の手が邪魔で口を押さえたくとも、その隙間から絶えず喘ぎが零れてしまう。
全てを舐め尽くすように、熱い舌が首から露になっている肩へと這い回り、ワンピースが腹部まで捲られると凛の指が真雪の口から引き抜かれた。
息苦しかった真雪は解放感から、大きく息を吸った。
「はぁ……ぁあ……」
息をついていた一瞬に真雪の身体が浮き、捲り上げていたワンピースが頭を通り抜け、下着だけを身に着けた心許無い姿にされた。
「――ッ!」
「ファスナーがついていれば、脱がせるのが楽なんだがな」
単調なリズムだが、言っている台詞は真雪の羞恥を煽るには十分だった。
ただひたすら、自分を見て話をする凛に顔を赤く染め上げた。
「そんなに赤くなるな、見ている俺が恥ずかしくなる」
そんな事を言いながらも、凛は至って冷静さを欠いていない。
動揺を見せてばかりの真雪と違い、裸体を前に凛は動じることなく自分のシャツのボタンに手をかけた。
黙ったままの真雪を上から眺め、引き締まった身体を露にする。