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愛しき殺し屋
ブラマンジェ4


オレンジの爽やかな香りが口内に広がり、それは鼻腔まで上ってゆく。


「ん……、は……、凛……さん」

「今日の俺は正気だ。これは俺の意志でやった事だ……」


僅かに離れた唇は話す度に吐息が触れ、凛は角度を変えながら深く口付けをした。
シンクに重心を傾けていた真雪は力が抜け、ズルズルとその場にしゃがみ込もうとした。しかし、両脇に置かれていた凛の手がそれを止め、腰に回された手が真雪を引き寄せた。

隙間なく抱き締められた真雪は抵抗する事なく、凛の身体に身を任せていた。

前回とは全く違う反応を見せる真雪に、凛は内心驚いてはいたが、走り出した情愛は真雪を欲しがって止まない。
貪るように激しくなるキスに真雪はついてゆこうとするが、息もつかせぬような口付けは真雪の意識を奪い去りそうなほどだ。


「ンン……、苦し……い、凛……」

「……抵抗、しないのか?」


柔らかく胸を叩く真雪は苦しいとだけ言って拒む様子を見せず、凛は真雪の頬に手を滑らせ顔を窺う。
慈しむような優しい目をした凛に、真雪は顔を赤らめた。


「……自分でもよくわからないんです。でも凛さんの事、拒めません。きっと凛さんが……好き」


真雪の台詞を最後まで言いきることが出来ないその言葉は、凛の口内に閉じ込められる。


「俺が……好きか?」

「凛さんの事考えると、自分でもわかるくらい……顔が赤くなるんです。凛さんを思い出すと、とても胸が苦しくなるんです。凛さんを目の前にして、今もすごくドキドキしていて……。自分でも何をどう言って良いのか、わかりません。ごめんなさい……」

「それだけ聞ければ十分だ。……真雪、今日は前みたいなあんな強引な事はしたくない。……が、アレが俺だと思われたくもない。今は本当の俺を……見せてやろうか?」


優しく細められた瞳は淫靡な色をかもし出し、凛は真雪の顎を指で持ち上げて返事を待つ。


「……そんな風に聞かれたら、断れません。本当の凛さんを、教えて……ください」


凛の唇が緩やかな曲線を描き、真雪に触れるだけの口付けをした。


「望み通り、本当の俺を教えてやる」


半分腰砕けになった真雪を片手で抱き上げ、腰に巻きついたソムリエエプロンを外した。


「俺の部屋でたっぷりな」


凛に抱き上げられた事で目線が凛と水平になり、真雪は真っ直ぐ凛の目を見たまま小さく頷いた。





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