慎哉は凛に入れてもらったコーヒーを口に運びながら、昨夜の事を零した。
「しっかし、昨日は驚いたな。別荘に着いたら子猫ちゃん、ターゲットに捕まってたんだもんな」
「俺が居たの気付かなかったのか?」
「ん?あぁ、最初見えなかったんだ。気付けば子猫ちゃんがピンチじゃん、だからそれしか目に入らなかった」
凛と慎哉の会話の趣旨が、いまいち理解出来ないライカは不思議そうに首を傾げた。
「何の話〜?」
朝食を食べ終えたライカが、コーヒーにミルクを入れながら凛に話しかけた。
「昨日俺が隣の部屋に居たのは、榊の指示だったんだ。なぁ榊」
「えぇ、それはそうですけど。私が武島と殺りあってる時、窓から逃げ出そうとしていましたから念のタメと思いまして」
和泉とライカはフーンと声を合わせ、話に聞き入った。
「それで俺は隣のテラスで待機していたら、案の定尊は来た。真雪まで連れてたから俺は一瞬焦ったんだ、戸惑っていたらげき鉄の音がしてな」
「凛居たの気付かなくて、ターゲットを俺が撃つとこだった。でも先に凛の方が動いたから、撃たなかったんだけどな」
自分達が見ていない所で、そんな出来事があったとは知らなかった和泉とライカは驚く。
「掃除に銃は必要ないでしょう。まだ殺し屋に未練でもあるのですか?」
「護身用」
呆れ顔の榊に対し、慎哉は当然とばかりに平然と答えた。
「つーか、持ってないと落ち着かなくて〜」
能天気に笑う慎哉が少し疎ましく思え始め、和泉の目が据わり始めた。
「んで、今日は何の用で来たんだよ」