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愛しき殺し屋
銀色の輝き2



「どこから風穴を開けてもらいたいですか?ご希望があれば、どうぞ」

「や……めろ」


武島は震える身体で後ずさりを始める。
逃げ場などなく、ドアは榊の後方。
残るは自分の背に面した窓しかない。

この場に居ては確実に殺されると悟った武島は、振り返って大きな窓に向かって走り出した。


「グハァッ!」


逃げ出そうとした武島のアキレス腱目掛け、榊の銃口が火を噴く。


「誰が逃げて良いと言いましたか。どこに穴を開けてもらいたいか、聞いたんですよ?」


大きな窓から月明かりが優しげな光をもたらし、痛みに悶える武島をまざまざと浮かび上がらせた。

刺すような視線の榊と、武島の視線が絡まる。
榊はゆっくりと足首を押さえ苦痛に顔を歪める武島に近付く。


「さぁ、どこにしましょうか」

「……か、勘弁してくれ、もうしない、謝る!うあっ……クッ!」

「ヤクザが一般の方に手を出しておいて、今更ですよね」


銃口を向けられ、武島は観念したのか身体を強張らせ俯いた。


「武島さんも組員の端くれ、最期くらい顔を上げてください。――面白くないですよ」

「ガハッ!」


武島は右肩を撃たれ、うつ伏せに倒れこんでしまった。
榊はその身体をひっくり返すように、武島を蹴り上げて仰向けにさせる。


「苦しんでる顔をもっと見せてくださいよ。武島さん達は罪もない方々を殺め、一人の女性の人生を狂わせたのですからね、それなりの事を覚悟してもらわないと」


月明かりの元、苦痛に顔を歪める武島を榊は、まるで物を見るかのような様子で見ていた。


「ぐぅぅ……。っか、ハァハァ、一思いに……殺せ」

「武島さんの意見なんて必要ありませんよ。ゆっくりと命の炎を弱らせてあげますからね」


銀色輝く榊のコルトが武島を再び捉える。

消音された銃声と武島の叫びが入り混じりながら、徐々に銃声だけしか聞こえなくなった。





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