「僕ヤキモチ焼けるくらい、仲良さそうだったもん」 真雪はライカから告白をされたのをすっかり忘れていて、ぶすくれるライカの顔を見て、自分の行動は軽はずみだったと少し後悔した。 緩んだ和泉の手から逃げ、痛む両頬を擦り不穏になりつつある空気に僅かに動揺の色を見せる。 「あっ、私地下ってまだ行った事ないんですけど、どこから行くんですか?」 焦りながら話題を変え、少し重くなった雰囲気を破る。 「あん?真雪はまだ行った事なかったっけ?」 「以前行こうと思ったら、ライカくんや和泉くんに自分の部屋を案内するからって言われて、それっきりですもの」 黙ったままのライカを恐る恐る見れば表情を曇らせたままで、真雪の心は焦るばかり。 「……ライカくんも射撃出来るの?」 「うん、小さい頃から色々叩き込まれたからね」 「あ、そう……ですか」 どう話しをしても、ライカの顔から笑みは見られず、真雪は和泉に目で助けを求める。 和泉は少し困った顔をし、眉をしかめながら前髪を無造作に掻くとライカの背中を強く叩いた。 「腐ってないで行くぞ!」 ライカの腕を強引に掴み、和泉はドンドン足を進め、そんな二人の背を見ながら真雪も後ろに小走りでついて行った。 行った先にはドアがあり、和泉は立ち止まるとそれを開けた。 蝶番が軋み、目の前に広がる空間から地下へと続く階段があった。 「こんな所にあったんですね」 ドアだけを見れば普通の部屋のドアとなんら変わらなく、真雪が気付かなかったのも仕方ない。 地下室と言うとカビ臭く陰気なイメージだがそんな事はなく、掃除が行き届き明るく清潔な階段があるばかりだ。 「僕やっぱり、仕事してくる」 ライカは二人が何か言おうとしてるにも関わらず、先に地下室へと続く階段を下りていった。 「ライカくんの気分を悪くさせてしまって……」 「気にすんな、すぐ機嫌直るだろ。つーか、勝手に拗ねてるだけだし」 ライカを気にしつつも二人は階段を下り、細い廊下を進み更にもう一つの階段を下りる。 分厚く重そうなドアの前で、和泉はここだと指を差しながらそれを開けた。 |