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愛しき殺し屋
口は災いの元



その頃榊の部屋では。


「九条、用事終わったんでしょ?さっさと帰れば?」

「何でそんな早く帰したがるのかな、ライカくん?」

「まだ用事あんのかよ」

「子猫ちゃんを抱擁してないからじゃないと、帰れな……あ」

「口は災いの元、と……先人は上手い事を言う」

「俺の馬鹿〜っ!言わせてもらうが、お前等子猫ちゃんの何なんだ!?彼氏なのか?旦那なのか?……凜は母親だっけ?」


ニヤニヤとしていた慎哉がしまったと口を塞ぐものの、既に時遅し。

普段それほど笑わない凜が目を細めて笑っている。
しかし、纏うオーラは赤黒いような怒りの色で。


「誰が母親だって?」


久々にキレた凜から避難するべく、和泉とライカはソファーを壁に押しやり、慎哉と凜から離れた場所で傍観を決め込もうとしている。


「いや、あのさ、凜?それは榊から聞いた事で……別に俺が無理に聞き出したわけじゃねーぞ!?まっ、落ち着こうよ」

「聞いたのは別に良いとして、それを俺の前で口にした事が問題だ。それにお前に言われる筋合いはない」

「だ、だから謝るよ。な?これこの通り、な?あっそうだ!凜が前に欲しいって言ってた新種の薔薇。裏ルートでいち早く手に入れられそうなんだ!それを凜にプレゼントしよう」


手を合わせ凛にひたすら謝る慎哉。
凛は新種の薔薇に興味を持ち、眉間に皺を寄せながら不服そうにため息をついた。


「……許してやる」

「良かった〜、薔薇の話思い出した俺最高!グッジョブ俺!」

「ただし」


手放しで喜ぶ慎哉はまだ何かかあるのかと恐々と凛に顔を向け、出てくる言葉を待つ。

「もう真雪に近寄るな」

「いいぞー凛、もっと言ってやれ〜」

「そーだ、そーだ!九条は真雪ちゃんに近寄るな〜」

「凛を止めもしない薄情者がいらないチャチャを入れるなよ!凛それはないよ〜、俺と子猫ちゃん出会ったばかりだし」

「じゃあ駄目だ、許さない」

「わかったよ、わかったわかった。近寄らなければ良いんだろ?はいはい、皆関係ないくせに独占欲ばっか強くって……全く」


ブツブツと愚痴を零す慎哉の言葉を逃すはずもなく、またしても慎哉は三人に責められ続けた。


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