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愛しき殺し屋
真雪の部屋2


「じゃあ決行日になったら教えますから、それまではこの間のような勝手な行動は謹んでくださいね」


榊は苦笑いを零し、真雪の微かに赤く腫れる瞼を指で撫で上げた。
真雪は驚いたものの、榊の冷たい指が熱を持つ瞼に気持ち良く、目を閉ざされるがままにしていた。

無言でいた二人。真雪の閉じられた瞼に影が落ち、唇には柔らかな感触。

気付き、目を開くと間近に端正な榊の顔がある。
顔が離れ困ったような顔で笑う榊に、なぜこのような事になったのかわからない真雪は、ただ顔を赤くするばかり。


「さ、榊さん……?」

「なんですか?」

「今……キス」


ベッドに腰をかけている真雪の腕を引っ張り、脇に立っていた榊の胸元に寄せた。


「少しだけこのままで居て良いですか?」

「榊さん……」

「真雪は私といる時はよく泣いていて、どうして良いかわからなくなるんです。もう泣き顔は見たくありません」

「……ごめんなさい」

「笑ってください。笑っていれば真雪にも幸せが来ますから、泣けばそれが逃げますよ?」


榊の台詞に思わず笑い出す真雪。
される行為や言葉は、慰めるもの。元気づけようとしたものだと、心が温かくなった。

いきなり笑い始めた真雪に驚いた榊は身体を離し、真雪の顔を窺う。


「どうしました?」

「榊さんから迷信じみた事を言われると思わなかったから……つい」

「これでも子供の頃は御伽噺なんか好きでしたよ、意外ですか?」


榊の意外な一面が見れ、大人な榊が少し子供のように見えた。


「いつも自分を保っていて、大人はイメージの榊さんの子供の頃はなかなか想像できませんね」


なおも楽しそうに笑う真雪に、少々照れながらも榊はそうですか?と答えた。





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あきゅろす。
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