そのままライカに引きずられるように中庭を後にした真雪は、ライカの部屋に連れて来られた。
「真雪ちゃん、僕の観察してくれる?」
「はい、……ライカくん何かしててください」
ライカはただニコニコとソファーに座って真雪を見るだけで、真雪としても何を観察してよいのかわからないでいた。
「真雪ちゃんを見てるのはダメなの〜?」
「それは私がすることで、ライカくんは普通に生活しててください」
「う〜ん……普通にかー」
ソファーにもたれ、考え込むライカを見つめる。
春の日差しが窓から入り、ライカのフワリとした金色の髪が日の光に透け輝いている。
「ライカくんはやっぱり天使ですね」
「えぇ!?まだそんな事言ってるの?」
「フワフワの金髪が、とても似合ってるから」
真雪はふわりとした笑みで、ライカの髪を指差す。
「これー?僕ハーフだからね〜」
「ハーフだったんですか!?どうりで……肌の白さとかも納得です」
「髪はともかく、色白はイヤなんだよね〜。華奢な感じに見られてさ」
スルスルと長袖の服をまくり上げ肌を露にし、真雪に見せる。
しかし色は白くとも着やせするのか、腕は普通の男の子より幾分も筋肉がついているように見え、今までライカに抱きしめられた時に感じた、引き締まった身体の質感を思い出してしまうと真雪の顔が熱くなる。
「どうしたの真雪ちゃん?何、僕の腕そんなに良い?赤い顔しちゃって」
見据えるように笑うライカに、真雪は慌てて頭を横に振る。
「ちぇ、僕の顔がこんなだから女の子みたいとか言われるの凄く嫌でさー。中身は男なのに。真雪ちゃんが僕に男を感じて赤くなったと思って嬉しかったのに、違うのー?」
「そそそんな!私から見ればライカくんは立派な男の子ですよ?確かにグレーがかった大きい瞳と、色白とか可愛いと思いますけど、たまに見せる男の子らしい表情なんかドキッとします」
ライカからむくれた表情が、一瞬にして消えた。それに気付いた真雪は焦ったように瞬きをした。
「あれ?また何か悪い事言いました?」
「真雪ちゃん……それ嬉しい。僕にドキッてしてくれるの?」
「え、え、まぁ……しましたけど?」
先ほどまでと違う真剣な男の顔に様変わりする。
少年の色気と、青年のような凛々しさが交差するライカに、真雪の瞳は釘付けになる。
「真雪ちゃん、僕ね本当に真雪ちゃんが好きだよ」
「ライカ、く……ん」
ライカは真雪の横に座り、その身体を抱きしめた。