ふと我に返り、凛の腕の中で泣いてしまった事が恥ずかしくなって勢いよく身を離した。
「ご、ごめんなさい!……つい甘えてしまって」
いつもは見上げなければならない凛の顔が目の前にあり、涙で濡れた真雪の顔が赤く染まる。
「気にするな、泣きたくなったらママになってやるからいつでも来い」
「そんな笑わないでください、私これでも18なんですよ?子供扱いして」
声を押し殺し笑う凛は真雪の背中をポンと叩いた。
それを良しとしない真雪は濡れた頬を拭いて、眉根を寄せた。
「ああ知ってる。こんな18才なんているんだなって思ったくらいだからな」
「知ってる?私の歳、言いましたっけ?」
「調べれば簡単だ」
それを聞いて平然とした様子で笑っている真雪だが、内心侮れないと呟いていた。
「真雪ちゃーん!」
不意に聞こえたライカの声に、辺りを見回す。
「ライカくん」
手をヒラヒラと振りながら、裏庭にやってくるライカが真雪に突っ込んでくる。
「わっ!」
「真雪ちゃん、やわらかーい」
ぶつかると思い身を強張らせる真雪を、抱きしめるライカは春の香りが漂う髪に顔を埋めた。
「気持ちいー、温かくていいなー」
「今日はお天気良いですからね」
ソッと身体を離すライカが苦笑いを浮かべ、凛と顔を見合わせる。
凛は大きくため息をつき、真雪の背中を軽く押した。
「どうだ真雪、俺の事何かわかったか?」
「はい!ママのような人だとわかりました」
「……そうか」
「ママ?」
ライカは話がわからず、凛と真雪を交互に見る。
「そうです、凛さんはママみたいな人なんです!」
「なんだかよくわかんないけど、真雪ちゃんが喜んでるなら良かった!」
二人は笑顔で顔を見合わせていたが。
真雪に悪気がないから、何も言えない凛は遠い目で空を眺めていた。
「ママ……か」