「おはようございます、ライカくん起きてる?」
ノックをして声をかけても返事が返ってくる様子がなく、真雪はドアを開け部屋に入って行った。
「ライカくん朝ご飯だよ?起きて」
「ううううーん。もうちょっとー……」
「もうちょっとって、どれくらい?」
モゾモゾと大きなベッドで丸くなるライカを横目に、カーテンを開ける。
薄暗い部屋に朝日が入り、一気に明るくなった。
「あと5ふ……ん?真雪ちゃんっっ!?」
急にライカが起き上がった事に驚き、真雪は瞳を見開き笑みを見せた。
「おはようライカくん、朝食できましたよ」
「真雪ちゃん、ちょっとは……元気に、なった?」
「うん、心配かけてごめんね。昨日は来てくれてありがとう」
カーテンを端で留め笑顔で応える真雪に、ライカはベッドから駆け下りて抱きついた。
男性にしては色の白い腕が真雪の身体を包み、薄いTシャツにスウェットのライカの身体が密着し体温が伝わる。
「ラ……ライカくん?」
「良かった、本当に良かった」
ライカの突然の行動にどうして良いかわからず、言葉が出ない。
「ちょっとだけ、このままでいさせて……」
「う……ん」
背中に回されたライカの腕が強くなり、真雪はソッとライカの背中に腕を伸ばした。
「昨日は本当にごめんさない、もう黙ってあんな事しないから」
「もう心配かけないで。僕じゃ頼りないかもしれないけど、何でも言って。真雪ちゃんの力になりたいんだ、一人で何でも抱え込まないで……お願いだよ」
「……うん、ありがとう」
真雪の答えに満足したのか、ライカは身体を離し少し潤んだ瞳で満面の笑みを見せた。
「よし、じゃあご飯食べに行こっ!」
「これから和泉くんも起こさなくちゃいけないんです。だからライカくん先に行っててください」
「和泉なんか放っておいても大丈夫だよー」
先を急ごうとする真雪に、ライカは言葉をかける。
「そんなわけにいきませんよ、じゃあまた後で。……さっきのライカくんの言葉すごく嬉しかったです」
「真雪ちゃん」
真雪は微笑み、気恥ずかしさからかすぐに部屋を後にした。