「とても綺麗なお部屋ですね、ライカくんにピッタリの雰囲気で素敵です」
真っ白なカーテンが風に煽られ優雅に舞っていて、キングサイズのベッドが奥のほうに見える。
ベージュの一人がけの椅子が2つ、ラヴソファにメインテーブルが間にある。
ソファ脇の小さなテーブルには、間接照明がぼんやりと柔らかな光を纏っていた。
「次はこっちだ」
真雪はライカの部屋に見とれていると、和泉に腕を急に掴まれ連れて行かれた。
「ちょっと早すぎじゃなーい?ベッドも良く見てもらいたかったのにー」
どうしてベッドを見てもらいたいのか、深く考えたくない真雪は苦笑いで和泉にされるがままにいた。
「ライカの隣が俺様の部屋だ」
大きく開かれたドア、部屋の中に入れば玩具箱をひっくり返したような、色々な色が交差している。
ここもベッドはキングサイズで、大きい三人がけのオレンジ色のソファ。
ビタミンカラーが目立つ内装に、真雪は思わず笑みを漏らした。
「和泉くん……らしいですね」
「どう言う意味だ?また嫌味でも言うのか」
こめかみをピクピクさせる和泉は、真雪に詰め寄る。
「とても明るくて、元気一杯な雰囲気がです」
「そか?はは、この部屋にいつでも来ていいぞ。俺様の元気分けてやるからよ」
乱暴に真雪の頭を撫でる和泉に視線を向けると、真っ赤な顔で笑っていた。
「和泉くん顔赤い……どうしたの?」
「えっばっ、馬鹿、見んじゃねーよ!」
和泉は片手で顔を隠し、真雪の視線から逃げるように顔を背けた。
「あのー、僕居るの忘れてるー?」
戸口に腕組しながらドアにもたれ、面白くなさそうにしているライカが間延びした声で漏らした。
「そんなことないですよ、次はどこ案内してくれるんですか?」
「よし!じゃあ次は凛の部屋ね〜」
急に晴れやかな顔になるライカに引きずられ、真雪は次なる部屋に向かった。