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愛しき殺し屋
スキンシップ


真雪の家も財を成したとだけあって大きな家だったが、この家はそれの倍以上の広さがある。


「榊さんが言う通り“探検”って言葉がピッタリかも」


簡単な説明は榊から聞いていた真雪は、その言葉を思い出す。


「地上三階、地下二階……か。すごいなぁ……」


中庭に面した窓からは陽の光が花々に降りそそぎ、春の色に染まっている。


「凄く綺麗。とても丁寧に手入れされてるけど、誰が育てているのかな?」


美しい中庭を眺めながら、エントランスへと続く大きな螺旋階段を下りる。
大理石の床が張り巡らされたエントランスは大きな吹き抜けになっていて天井が高く、気持ちの良い開放感に溢れていた。
調度品も西洋アンティークが、飾りすぎずセンスの良いものが品良く置いてある。

先ほど食事をしていた、普段使いであろう三十畳ほどのスペースのLDK。
榊達が居たら先程の非礼を詫びたい所だったが、既にもぬけの殻となっていて、それは叶わなかった。

真雪は踵を返し、他の部屋を見て回った。
大きなジムのようなトレーニングルームに、すぐ隣には大きなバスルーム。
書庫、応接間のような部屋が二部屋に、小さな三つの空き部屋があった。


「どの部屋も立派な造り……。」


驚きながらも見て回った真雪はエントランスへと戻り、まだ見ていない場所へと移動する。

ミュールの高い足音を響かせながら、地下室へと続く階段を探す。
先ほどの螺旋階段は一階から三階までの上層階のみだったので、まだ見ていなかった廊下の奥へと足を進めた。

真雪はここで迷子になるのでは……と思い、嘆息してしまう。


「真雪ちゃーん見つけたー!勝手に出て行かないでよ〜!」


いつの間にか背後にいるライカに驚き、勢いよく振り返った。


「あ……ごめんなさい、楽しそうにしてたから。邪魔しちゃ悪いかと思って」

「やめてよー!和泉といるよりも真雪ちゃんと一緒に居るほうが、数千倍良いに決まってるじゃん!」


僕が案内するんだからねと、頬を膨らませ真雪の手を握るライカは満面の笑みで真雪の顔を覗き込んだ。


「ライカくん……手が……」


突然握られた手に驚き、思わず赤面してしまう。


「え?僕と手を繋ぐのイヤ?」


顔を覗き込まれ、寂しそうな顔をするライカに思わず目を逸らしてしまい。


「あ……えっと、……イヤじゃないけど……あの」

「良かったー、じゃあこのままでね」

「あの……私、あまり、、スキンシップに慣れてなくて」


恥ずかしさで俯きながら言うと、静まり返る廊下。
ライカに呆れられてしまったのかと思いながら顔を上げると頬を赤く染め、瞳を輝かせたライカが真雪を見ていた。


「ライカくん?」

「すごーい!こんな無垢な娘見たことなーい!」


勢いよく抱きつかれ可愛いと連発するライカに戸惑ってしまい、真雪は言葉が出せないでいた。






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あきゅろす。
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