真雪を布団の際で望む和泉は熱のせいか、ユラユラと瞳を潤ませていて。
どうしました?と和泉を覗き込めば、布団から腕が伸び真雪を引きずり込んだ。
「――ひゃっ!和泉くん!?」
「真雪と一緒に寝れば、よく眠れるから。このまま……」
和泉の腕が真雪の肩に回され、前から抱きすくめられる。
真雪の目の前には、和泉の胸が鼻先にあり、密着する身体から熱い体温を感じる。
ずらそうと身体を離せば、和泉の腕の力で押さえられ、更に隙間無く抱き留められる。
胸に押し付けられた頬は、薄いTシャツから和泉の熱が伝わる。
自分の熱なのか、和泉の熱なのかわからないほど、蕩け合ってしまう。
そんな事を思うと、自分の体温が急激に上がるのがわかり。
「和泉くん、こんな事しないで大人しく寝ましょう?」
「……こうしてた方が、よく眠れる」
真雪の心音が薄い布一枚隔てた肌からトクントクンと感じ、それは次第に子守歌に変わり。
和泉は安心するように、静かに寝息を立て始めていた。
寝ていても、回された腕は緩む事はなく。
逃げるのを諦めた真雪は、和泉の鼓動を聞き、瞼が重くなっていった。
一時間程経った頃、眠りの世界から帰還した和泉の腕の中には真雪がいて。
流れるような曲線を描く、投げ出された黒く艶やかな髪を眺め、和泉は小さく唇をそこに寄せる。
寝返りをうつ真雪はコロンと和泉に背中を向けてしまい、寂しい気持ちにさせた。
ソッと上から覗き見れば、髪が顔にかかり、表情が見えない。
真雪を起こさぬよう、優しくゆっくり髪を払う。
血色の良い頬が見え、クルンと上に向いた長い睫毛が姿を現す。
柔らかな唇に触れるだけのキスをし、真雪の身体を抱き寄せて、和泉はまた眠りに落ちる。
「人の体温って気持ちイイんだな……」
重なる鼓動が心地良く、今は真雪に甘えたい。
ほんの少し、今だけ―――。