切り裂かれた空間に入ると、そこは深い闇の中。
しかし薄くぼんやりとした光が身体を包み、互いの姿だけはしっかりと確認できる。
「何処……連れて行くつもり……」
「良い所ですよ。美咲にとって、とても良い場所……」
口角が緩やかに弧を描き、切れ長の瞳が美咲を見下ろす。
「や、私を帰し、て……」
「貴女は何も考えないで、私の香りに身を任せれてれば良いのですよ」
力なく暴れようとする美咲をセンリは腕の力を強め、言葉を続ける。
「美咲は私の光、やっと巡り逢えたんですからね。絶対に離しません」
「あ、あぁ……」
甘さを秘めた低い声で有無も言わさない言葉を囁かれ、恐怖と快楽の狭間にさらわれてゆきそうになる美咲は、何も考えられなくなる。
熱に浮かされる美咲はセンリの視線、指の動きなどの小さな動き一つ一つに身体を震わせた。
遠のく意識に頭の中は残響するセンリの声。
あとは自分の荒い息遣いだけだった。