「人聞きの悪い事言わないでくれるかな〜センリ。“助けてくれ”ってお願いされれば、報酬が発生するのは当たり前でしょ?ギブ&テイクだよ」 「……美咲?あらセンリに捕まってた……と言うより、センリの香りに堕ちたと言う事は……おめでと、良かったわねセンリ。まさか本当に希望の光が現れるなんて」 突如として現れたマリカは、腕組しながらセンリに笑みを見せた。 「マリカ……たすけ……」 「まだ喋る元気があるのですか?では別な場所でもっと、私だけを感じさせてあげましょう」 耳元で低く響く声が、美咲の聴覚まで狂わせる。 自分の意識をギリギリの所で制御している美咲に、抗うことなど出来ず。 センリの腕にしっかりと抱きかかえられた美咲は、何も考えることなど出来なく。 美咲を包み込む香りに、意識までも囚われ始めていた。 香りに心と身体を乱され始めた姿を満足そうに見つめていたセンリは、美咲の肩を抱いたままゆっくりと立上がった。 空いた手を前に突き出し、伸ばした指先で空間を切り裂き、その裂け目に足を進めた。 喜ばしげに微笑むマリカに、残念と呟く皮肉めいた笑みのマスカーレイドを背にしながら、センリと共に美咲は漆黒の闇が広がる空間にその身を溶け込ませて行った。 |