[携帯モード] [URL送信]

道化の国
お茶会2






話を変えるべく、美咲は口を開く。


「あ、あのぅ、マリカは彼氏とかいるの?」


妙な話題かもしれなかったと思うも、センリ達の話よりは良いかと恥を忍ぶ。


「彼氏ねぇ……いないわ」

「マリカこんなに色っぽくて綺麗なのに!?」

「あら嬉しい事言ってくれるわ。可愛いわね美咲」


マリカはよしよしと、犬猫を慈しむかのように美咲を優しく撫でる。

それを見ていたセンリは、さも触るなと言わんばかりの視線をマリカに向けた。

気付いたマリカは挑発するように、勝ち誇ったような顔で、センリを見ながら美咲に抱き付いた。


「美咲は本当可愛いわ、センリには勿体ない」

「マ、マリカ、苦し」


マリカの大きな胸に顔を埋める形になり、息が出来ない美咲は虫のように手足をばたつかせた。


「そろそろ離れてくれませんか?美咲が潰れます」


美咲をマリカから剥がし、センリの腕の中にスッポリと収める。


「ねぇ、話を割り込むようで悪いんだけど、前に一緒にいた男は彼氏じゃないの?」


どうやらマスカーレイドはマリカと男が一緒にいる現場を見たらしく、仲良さそうだったのにな〜とブツブツ何か言っている。


「マスカーレイドが見た男は、どんな奴だったかしら?」

「こう……背が高くて、紫色の長い髪の男。俺には負けるけど、なかなかの男前だったよ」


身振り手振りでその男の容姿を伝えるマスカーレイドは普段仮面をつけている為、素顔など知る由もなく。


「……あぁアレ?彼氏でも何でもないわ。ちょっとつまみ食いしただけ。でも身体の相性最悪で、ムカついたから一発お見舞いしてあげたわ……あの後にね」


ユーマはマリカの怖さを知ってるのか、青ざめた顔でいる。

そんなユーマを横目にマスカーレイドは続けた。


「ちなみにどこに一発見舞ったんだ」

「決まってるでしょ?私が男を蹴る時は金的」


得意そうに、長い足をスラリと投げ出し、ヒュンと空を切る。


「マリカあまり過激な発言をすると、美咲の顔から火が出ます」


マスカーレイドとユーマは痛みを想像して、マリカに蹴られた男に同情をしないではいられないでいた。

一人ドキドキする美咲は、マリカに何て言って良いかわからずティーカップを傾ける。


「マリカが一番サディストですね、他人の事とやかく言えませんよ。これじゃあ……」

「同じく」

「俺もそう思う……ってマリカ!俺を睨むんじゃねぇ!!」



気付けば周りは全てサディストで囲まれた美咲。

自分は無事でいられるのかと、苦笑いを零すしかなかった。



[*前へ][次へ#]

6/45ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!