道化の国
人生を奪取
「倭の国に帰るか・・。」
「急にどうしたのよ。」
「花月ときちんと話をして・・、俺が言葉と態度で示せば花月だって少しは心が動いてくれるかもしれないと思ってな。今なら言えるだろう・・と、・・な。」
白露は立ち上がり、持ってきた道具を片付け帰り支度をし始めると、マリカの手が白露の腕を捕まえた。
「花月ならセンリのフィールドにいるらしいわよ。」
「センリのフィールド・・、花月は道化の国に来ているのか!?」
「そうらしいわ、今からセンリのフィールドに行く?なんなら連れて行ってあげるわ。」
「頼む。」
白露は手荷物を持ち、マリカと共に宿を後にした。
足早に歩くその姿には迷いはなく、白露は心に秘めていた今までの事をどう花月に伝えようかと考える。
真っ直ぐすぎる花月に回りくどく言った所で理解など出来ないと思った白露は、ストレートに心の内をぶつけようと。
「あら・・、あの影の薄いのマスカーレイドじゃない?」
「そうだな・・、何をしてるんだ?あんな所で。」
二人は天を仰ぐマスカーレイドに近付き、顔を覗き込んだ。
しかし二人に気が付く事はなく、息さえしているのかも怪しいほど微動だにしていなかった。
「マスカーレイド、目を開けたまま寝るなんて気持ち悪いわよ!」
マリカはマスカーレイドの襟を掴むと大きく揺さぶり、意識を呼び戻そうとする。
「マリカー・・気持ち悪いから止めてー。」
「なんなのよ、こんな所でボーッとして。」
「レッテル貼られたこれからの人生について色々考えてた。」
「かいつまんで話してる所悪いんだけど、話が見えないわ。」
マリカはマスカーレイドから手を離し、呆れ口調で吐き捨てる。
「先を急ぐからマスカーレイドになんて構っていられないわ、白露行くわよ。」
「マリカ達は何処行くの?」
踵を返し背を向けるマリカに、マスカーレイドは力なく話しかける。
マリカは立ち止まる事無く少しだけ顔を後方にいるマスカーレイドに向け答えた。
「センリのフィールドよ、これから花月に会いに行くの。」
「俺も行く、行って俺の人生取り戻す。」
立ち上がるマスカーレイドは早足でマリカ達の元へと急ぎ、センリのフィールドに向かった。
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