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道化の国
更なる誤解?


「マリカが来たようですね。」


センリが呟くのが早いか、空間が裂けるのが早いか。
マリカがフィールドに姿を現すと、すぐにその視線はセンリに冷ややかな眼差しを向けた。


「お守りはもうたくさんよ。」

「お疲れ様でした、マリカ。」


全くだわ・・、と大きくため息をつくマリカの後ろからは、白露にもたれるマスカーレイドもフィールドに足を踏み入れる。


「センリー、もう二人の邪魔しないから許してよー。」


花月が顔を上げれば倭の国に居るはずの白露がマスカーレイドを支え、それに甘えるように身体を預けるマスカーレイドが目に入る。
唇を噛み、花月は一陣の風のように素早い動きで白露のもとへと駆け寄った。


「マスカーレイド!白露はわたくしのものだ!お前の毒牙にはかけさせない!!」


毛を逆立て威嚇する花月はマスカーレイドを睨み、白露に力強く抱きついた。


「センリ頼むよ、花月はまだ誤解したままじゃ〜ん。」


悲壮にくれるマスカーレイドは、力なくソファに身体を投げ出し突っ伏した。
呆気にとられる白露は何事かと抱きつく花月を見下ろす。


「何が何だかわからないな・・、花月、これは一体どう言う事だ?」

「マスカーレイドは白露を狙っているとセンリから聞いた。白露は無事だったのか?マスカーレイドに何もされなかったか?」


心配そうに見上げてくる花月の頭に手を乗せ、白露はセンリに視線を移す。
何事もなさげに、いたって涼しい表情のセンリは優雅な仕草で紅茶を口に運んでいる。

魂が抜けたようにグッタリとするマスカーレイドと何も喋ろうとしないセンリ、わけがわからない様子の白露を交互に見やり、美咲は意を決して声を上げた。


「花月!全部誤解なの、マスカーレイドが・・その・・、誤解なの!男の人を好きって言うのは全部嘘なの。」

「・・美咲・・・、嘘・・?」

「そう!そうなんだ!俺は根っからの女好き!白露をどうのこうの言うのであれば、花月を狙うよ!頼むから男と噂だなんて勘弁してよ!」


漸く出された助け舟にマスカーレイドは急に起き上がり、熱弁をふるう。
しかし、白露は聞き逃さなかった。


「マスカーレイドは花月を狙っているのか・・?」

「そうじゃなくて・・、男より・・女が好きって言葉の・・・あやで・・・。・・これ・・、しまってくれる?」


銀色に光る鋭い切っ先を向けられ、マスカーレイドは両手を上げてかぶりを振る。




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あきゅろす。
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