[携帯モード] [URL送信]

道化の国
来訪者3


涼しげな表情でカップに口をつけ、センリはニコリと微笑んだ。
その時、マスカーレイドの身体が凍ったように固まり、アルマは青褪めた顔でセンリから隣にいるマスカーレイドに視線を移した。


「ちょっ・・。」

「い・・・嫌ですわ!私が・・男に媚を売るような男に・・・、一生の恥じですわ!!」


マスカーレイドがセンリに異論を唱えようとすると、アルマの悲鳴に似た叫びで遮られた。


「はい?あの・・アルマ・・?」

「触らないでくださる!?汚らわしい!!」


センリの言葉を真に受けたアルマはマスカーレイドの身体から離れ、伸ばしてきたマスカーレイドの手をバシンと容赦なく叩き落した。


「イテッ!ちょ、何するんだよ。」

「私は・・・、私は普通の男性が好きなんですの!あ、あなたのような汚らわしい・・・、私、帰らせていただきますわ!」


マスカーレイドから一定の距離を保ち、視線を向けないように立ち上がったアルマはソファから離れた。


「マリカ、アルマを送っていただけますか?」

「・・・い、良いわよ。」


顔を引きつらせ今にも笑い出しそうなマリカは、アルマと共にフィールドを後にした。


「ちょっと・・センリ、確かに離れてくれたけどさ、これって随分力技じゃない?あんな嘘ついて、すぐにバレるんじゃ・・。」

「・・・・まぁ、バレる前にもっと面白い事が起きると思いますが。」


わけのわからないマスカーレイドは首を傾げるが、ともかく一番の厄介事がなくなりホッと安堵した。
センリはティーカップを置き隣の美咲に目をやれば、いつからなのか固まった美咲がそこに居た。


「・・美咲?」

「・・・・ね、センリ・・、マスカーレイドって・・男の人が・・。センリも・・・狙われたって・・だからあんなにマスカーレイドは・・。」

「美咲ー!君まで勘違いしないでよ、頼むよ、俺は超が付くほどの女好きなんだから、冗談でも信じないでよ!まして・・センリだなんて・・。寒気がする・・・。」


大げさなまでの動作で身体を使って力一杯否定をするマスカーレイドを疑いの眼差しで見つめ、美咲はたどたどしい笑みを見せた。


「え・・あの、急な事でびっくりしちゃったけど、私は、マスカーレイドの事、応援してるから・・、理解も・・、するから・・。でも・・・、センリには私がいるから・・、その・・、悪いんだけど・・・。」

「ちょっとセンリー!どうしてくれるんだよ、美咲まで勘違いしてるし!センリだって誤解されてるよ!?」

「別に良いのではないですか、私への誤解は私自身が後でゆっくり美咲にします。マスカーレイドは美咲に誤解されたままで、何か不都合な事でも?」


焦るマスカーレイドを尻目に、センリはゆったりとした動作で美咲の固まった身体を抱き寄せた。


「いや・・、特にはないけどさ・・、でも、誤解されたままって言うのは普通嫌じゃない?」


センリに縋るような瞳でマスカーレイドは甘えるような声を出し、この窮地を救ってもらおうと試みるが。


「私には誤解された所で、痛くも痒くもありません。もっとも・・、貴方はこれからの事を少し考えねばなりませんよ?目先の美咲にばかり関心を置いていると、後で痛い目に合うのではないですか?」

「な、何企んでるんだよ・・。・・・もう良いよ、美咲は後で追々説明するし・・・はぁ・・。」


半分不貞腐れるマスカーレイドはソファに寝転がり、マリカの帰りを待った。
そして二人の会話をほとんど聞いていない美咲は、マスカーレイドとの出会いからの出来事を振り返っていた。



[*前へ][次へ#]

22/28ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!