道化の国 言葉に出来ない愛1 舌を絡め唾液を共有する二人は、ゆっくりと唇を離した。 「美咲・・、私も同じです・・・、ルイに嫉妬していました・・。私の側から離れ、ましてあのような場面を見せられてしまって・・。とても・・・悔しかった・・・・・。美咲、ルイに何かされましたか?」 思わぬ言葉を聞いた美咲は少しだけ嬉しく思った。 自分ばかりでなく、センリも同じような気持ちでいた事を。 こんな時に不謹慎だと思ったが、ルイやアルマにされた仕打ちの辛さよりも、穏やかな心地良さを覚えてしまった。 センリに愛されていると言う実感を、じんわりと胸に感じていた。 「私はルイに何もされてないよ?・・・ぁ・・少しだけ・・、舐められた・・・。」 「それは何処を舐められたのですか!?」 センリは美咲の肩を強く掴み、鬼気迫る表情で美咲を見据えた。 「・・・首筋・・。」 驚いた美咲はセンリから目を離さずポツリと零すと、センリは噛み付くような勢いで美咲の首筋に顔を埋めた。 熱い舌で舐め上げ、時折吸い付き、紅い花を咲かせてゆく。 「あンッ!・・センリ・・、ンン・・・。」 「他には何かされましたか・・?」 センリは顔を上げ、紅く染まる美咲の頬を撫で優しく微笑みかけた。 「・・ううん・・、それ・・だけ・・・。」 美咲はセンリの手に自分の手を重ね、センリの冷たい手の感触を瞳を閉じて味わう。 「“それだけ”と言う一言で済ませたくはないですね・・。」 センリは独り言を漏らし、美咲に悟られぬよう小さくため息を零した。 まだ沸々とする怒りが、センリの体内を駆けずり回る。 流させたくなかった美咲の涙、全ては自分が引き起こしてしまった罪。 しかし美咲に、アルマに怒りをぶつける自分を晒す事は絶対出来ないでいた。 もどかしい自分への苛立ちに、センリの眉間には深いシワが寄せられる。 あの時の葛藤が蘇り、センリは思いのままに美咲の身体を押し倒した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |