[携帯モード] [URL送信]

道化の国
着せ替え人形


ゆっくりと過ぎる時をフィールドで過ごす、美咲とセンリ。


「美咲、この国を見て回りますか?」

「良いの?」

「いつまでも私のフィールドに止どまっていても、退屈でしょう?」

「センリと一緒なら退屈じゃないよ」


美咲が放つ言葉に、センリは頬を緩ませて嬉しそうにしている。


「そのような可愛い事を言ってくれるなら、益々連れて行きたくなります。良いから行きましょう」


美咲の両腕を掴んでソファから立たせると、クローゼットの前に連れて行く。
開かれたクローゼットにはたくさんの服が揃えられていて、いつの間に用意されたのだろうかと美咲は目を見開いた。


「美咲に似合うと思いまして、つい揃えてしまいました。気に入りませんか?」


何事もないように言い放ち、センリは着せる服を選ぶ。

着せ替え人形と化していた美咲はかぶりを振り、センリにされるがまま立っていた。

クローゼットから服を取り出しては美咲に合わせ、楽しそうにその動作を繰り返す。

漸く服が決まったかと思えば美咲の服を脱がそうとし、美咲は苦笑いで首を振ってそれをやんわりと辞退した。


「着替えを手伝うだけですよ?」

「う……でも、自分で出来る……から」


部屋から退出しようとしないセンリから離れ、ベッドの影に隠れて着替えを済ませた美咲は、顔を覗かせてセンリを窺う。


「……着替えたよ」

「ではこちらに……。さて髪はどうしましょうか。巻きましょうか?おろしているのも好きなのですが……」


ドレッサーの前に座らされた美咲の後ろで、センリは鏡に映る美咲に小さく呟いてる。


「このままで良いよ。これで準備出来たから行こう?」

「そうですか?では参りましょう美咲」


センリは左手を差し出すと美咲は指を軽く乗せ、互いの指を絡ませた。

センリは空間を切り裂き、隙間なく寄り添った二人は漆黒の闇の中に消えていった。




[次へ#]

1/18ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!