ゆっくりと過ぎる時をフィールドで過ごす、美咲とセンリ。
「美咲、この国を見て回りますか?」
「良いの?」
「いつまでも私のフィールドに止どまっていても、退屈でしょう?」
「センリと一緒なら退屈じゃないよ」
美咲が放つ言葉に、センリは頬を緩ませて嬉しそうにしている。
「そのような可愛い事を言ってくれるなら、益々連れて行きたくなります。良いから行きましょう」
美咲の両腕を掴んでソファから立たせると、クローゼットの前に連れて行く。
開かれたクローゼットにはたくさんの服が揃えられていて、いつの間に用意されたのだろうかと美咲は目を見開いた。
「美咲に似合うと思いまして、つい揃えてしまいました。気に入りませんか?」
か
何事もないように言い放ち、センリは着せる服を選ぶ。
着せ替え人形と化していた美咲はかぶりを振り、センリにされるがまま立っていた。
クローゼットから服を取り出しては美咲に合わせ、楽しそうにその動作を繰り返す。
漸く服が決まったかと思えば美咲の服を脱がそうとし、美咲は苦笑いで首を振ってそれをやんわりと辞退した。
「着替えを手伝うだけですよ?」
「う……でも、自分で出来る……から」
部屋から退出しようとしないセンリから離れ、ベッドの影に隠れて着替えを済ませた美咲は、顔を覗かせてセンリを窺う。
「……着替えたよ」
「ではこちらに……。さて髪はどうしましょうか。巻きましょうか?おろしているのも好きなのですが……」
ドレッサーの前に座らされた美咲の後ろで、センリは鏡に映る美咲に小さく呟いてる。
「このままで良いよ。これで準備出来たから行こう?」
「そうですか?では参りましょう美咲」
センリは左手を差し出すと美咲は指を軽く乗せ、互いの指を絡ませた。
センリは空間を切り裂き、隙間なく寄り添った二人は漆黒の闇の中に消えていった。