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道化の国
刻まれる紅1



待ち合わせを決め、センリ達は白露達と別れを告げた。


「センリ、無理言ってごめんね」


小首を傾げながらバツの悪そうな顔をする美咲に、センリは何も言えず、優しく髪を梳き肩に手を回した。


「良いですよ、美咲は見たかったんでしょう?」

「うん、絶対見れないと思ってたから。花月に誘われた時、凄く嬉しくて」


見上げる美咲の表情は、晴れやかで。
センリはこの笑顔が見れれば良いかと、一人自分を納得させた。


「ではもう少し遊んでから、フィールドに戻りましょうか」

「うん」


楽しみが増えた美咲はセンリに寄り添い、期待に胸を膨らませていた。


それから、センリは美咲を着せ替え人形にするべく、服飾品をあれやこれやと注文をして回った。
必要以上の貢物に美咲はグッタリとしているが、センリは美咲のプレゼントを手に入れてご満悦の様子。


「そろそろ戻りますか?」

「う……ん。何だか疲れちゃった」

「花月達に会ったからでしょうね。私が抱いて行って差し上げましょうか?」


センリの買い物に眩暈がしそうだったのも一つの要因……と思ったが、美咲はセンリの笑顔を見ると言葉に出来なかった。

そんな事を考えていると、足元を掬われるような感覚に驚いた美咲は小さく悲鳴を上げ瞳を閉じた。
膝裏と背中にはセンリの腕がガッチリと入っていて、美咲の身体は既に抱きかかえられていた。


「……まだ返事もしてないのに、急にそんな事」


恥かしがる美咲にセンリは笑みを零し、息がかかる程に顔を近づけた。


「これから忙しくなります。今くらいは私の我侭を聞いてください」


美咲はセンリの言う事が我侭とは思えず、顔を緩ませてしまう。


「こんな我侭ならいつでも」


美咲はセンリの首に回した腕を少し引き、頬に唇を寄せた。
綻んだように笑う美咲に、センリは面食らう。


「美咲からのキスは珍しいですが、どうせなら唇にしてもらいたかったですね」


センリはそう言うと、美咲に顔を寄せ口付けをする。
美咲は瞳を閉じ、センリからの熱いキスに酔いしれるた。


静まり返るセピア色の街並みに二つの淡い影が重なり、色濃く一つになる。






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あきゅろす。
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