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道化の国
羞恥と快楽の狭間4



汗が出るくらい、感じたのですか」

「それはセンリが……」


一番言われたくない台詞を言われ、美咲の顔に熱がこもる。


「と、とにかく!シャワーを……」


一瞬語気を強めて身体を起こそうとするが、センリの人差し指が美咲の肩を突く。

少し浮きかけた身体が倒れ、スプリングが弾む。
驚いた顔の美咲の目の前には、ゆうるりと口元に弧を描くセンリが居て。


「シャワーなんか浴びたら、美咲の香りが消えてしまうじゃないですか。行かないでください」

「私は……嫌よ……。センリはいつも良い香りだけど、私は違う……もの」


センリの視線に絡めとられ、逸らすに逸らせない美咲はたどたどしく言葉を連ねる。


「私はともかく、美咲は良い香りがしますよ。甘く蕩ける、官能的な香りが」

「何だか恥ずかしい表現……」


照れた様に頬を膨らませる美咲に、センリは少し困った顔で微笑んで美咲の隣りに身体をずらした。

センリは美咲の髪を梳き、その指でクルクルと巻き始める。


「仕方ないですよ。美咲の香りは、私の欲を煽って来るんですから」


絡めとられた髪に唇を落とし、センリはそのまま美咲の頬に寄せていく。
自分では香りなんてわからない美咲は、されるがままにくすぐったいセンリの唇を感じる。


「むせ返る様な……甘い香りです。こんなにも貴女の側で、この香りを感じれる今がとても幸せです」

「私も……幸せ。センリの側に居れて」


美咲の腕はセンリの首に回し、ギュッと抱き付く。


「愛しい美咲……。たくさん愛してあげますからね」


センリは囁きながら首筋を甘噛みすると、美咲の背中がゾクリと震う。


「ッ!……あ、んっ」

「私も貴女の香りに酔いそうです。美咲が私の香りに溺れそうで怖いと言った時の気持ちが、今ならよくわかりますよ」


唇を重ねながら器用に美咲の服をスルリと脱がし、肩に指を這わせた。
口内ではセンリの柔らかな舌が美咲の舌を絡めとり、肩口をスゥッと動く冷たい指先が美咲を狂わせる。






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