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道化の国
羞恥と快楽の狭間2



すぐに軽やかな足音が近付くと、ゆっくりと薄く扉が開いた。その僅かな隙間から真っ黒なバスローブが差し出される。


「はい、バスローブ……」

「美咲……。それでは届きませんよ、中に入ってください」

「でも……」

「風邪をひいてしまいますよ」


扉の前で考えあぐねいている美咲は、センリが風邪をひいてはと思い、視線を逸らしながらオズオズと入って行った。


「……はい」

「うっかりしてました。ありがとうございます」


美咲の持つバスローブを受け取ると、すぐに羽織った。
センリが羽織るのと同時に、美咲はバスルームを後にしようと後ろを振り返った。


「何処に行くんですか?」

「キャッ」


美咲の背後からセンリの左腕が腰を巻き取り、抱きすくめられる。
センリからはボディソープのほのかな香が漂い、バスローブの隙間から零れる素肌が美咲の頭と触れ合う。


「すぐに逃げる様な事、しなくても良いでしょう?」


悪戯に笑い、空いてる右手を美咲の顎に添える。
美咲の顔を後ろに向けさせ、センリは唇を重ねた。


「私の裸を見るのは、そんなに恥ずかしいですか?」


美咲はセンリから視線を外し、頬を紅くしたまま小さく何度も頷いた。


「いつも見てるでしょう」


今度は黙って大きくかぶりを振り始める美咲に、センリは笑い声を漏らす。


「じゃあもっと見てください。私の身体も、貴女のモノなんですよ?」


いまだかぶりを振るのを止めない美咲の頬を、センリは両手で包み込む。


「い、いい!遠慮します!」


美咲は瞳を閉じ、顔の前で両手を振る。


「どうしてですか?」

「どうしてって……」





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