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道化の国
パーティー2



「私はマリカを信用していますよ」

「あら、ありがとう」


センリがマリカに気を取られていると、隣に居たはずの美咲がいない事に驚き、焦り振り返った。
店の中を見渡せば、美咲は人だかりの中心に囲まれている。

慌ててその中に飛び込むと、安心したように美咲が顔を綻ばす。


「センリ」

「勝手に居なくなっては困りますよ」


困り顔のセンリに美咲は小さく謝る。
謝る姿まで可愛くて堪らないセンリは、腰に手を回して身体を寄せた。


「セ……センリ、人が一杯……だから」

「だから……何ですか?」


いつもと違うセンリの言い捨てるような喋り方に困惑する美咲。
周りにはたくさんの人がいる。そのような場所での突然のスキンシップに、恥ずかしさと戸惑いで顔を俯かせた。


「……恥かしいでしょ?」


俯きながらセンリの胸を押して腕から逃れようとすると、センリの腕の力が弱まる。
するとセンリの顔が近付き、不意に唇を重ねられる。

驚く美咲の前には満面の笑みのセンリが居て、美咲は何も言えなくなってしまった。


「虫除けをしておかなくては、いけませんから。……念の為に」


この国で虫など見た事のない美咲は、恥ずかしそうにしながら首を傾げた。


「虫?」

「えぇ、この様な害虫です」


センリが身体を避けると、後ろからマスカーレイドが口元を緩めて立っていた。


「やぁ美咲」

「こんにちは、マスカーレイド」


気心が知れた人に会えた。知らない人が多い中では、それだけでも美咲の安心材料となっている。

微笑む美咲は、その場に居た人達を魅了するものだった。






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