神の森
独り
「何故(なにゆえ)、人は我に、同じく人を捧げようとするのか・・・?」
答えがないことは知っている。
ここには、自分と言う存在以外に何も存在しないのだから。
それでも、言葉を紡がずにはいられない。
「我は、贄など一度たりとて望んだことはないというのに・・・。何故、我が子らは、我に、同じく我が子らを捧げようとするのか・・・。
散ってゆくは、我の創んだモノばかり・・・」
直接、肉体を世に産み落とすのは、母という親だ。
しかし、昔、昔、永遠に等しい程の過去で、最初に何かによって創み出され、自分以外の存在を創み出したのは、ここに独り座り込んでいる存在だった。
全ての存在にとっての母で、親であるこの存在は、この存在が初めて創み出したモノたちより『親神』と呼ばれていた。
「我が独りなのを知っているからか?
否、違うであろう・・・?
そなたらは我と言う存在の有無さえ知らぬのであろうよ。
ただ、存在るかもわからぬモノへ、贄を捧げ、己が欲を満たさんと考えているのであろう?
捧げられたとて、我にはどうする事も出来ぬのにな・・・」
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