[携帯モード] [URL送信]

神の森
独り



「何故(なにゆえ)、人は我に、同じく人を捧げようとするのか・・・?」




 答えがないことは知っている。
 ここには、自分と言う存在以外に何も存在しないのだから。
 それでも、言葉を紡がずにはいられない。



「我は、贄など一度たりとて望んだことはないというのに・・・。何故、我が子らは、我に、同じく我が子らを捧げようとするのか・・・。


散ってゆくは、我の創んだモノばかり・・・」



 直接、肉体を世に産み落とすのは、母という親だ。
 しかし、昔、昔、永遠に等しい程の過去で、最初に何かによって創み出され、自分以外の存在を創み出したのは、ここに独り座り込んでいる存在だった。



 全ての存在にとっての母で、親であるこの存在は、この存在が初めて創み出したモノたちより『親神』と呼ばれていた。





「我が独りなのを知っているからか?


 否、違うであろう・・・?


 そなたらは我と言う存在の有無さえ知らぬのであろうよ。
 ただ、存在るかもわからぬモノへ、贄を捧げ、己が欲を満たさんと考えているのであろう?



 捧げられたとて、我にはどうする事も出来ぬのにな・・・」





[*前へ][次へ#]

2/4ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!