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記念小説

 そして、辿り着くそこ。
 掛かっている看板には、

『軽音楽部←つぅかバンド部☆』

 と書かれている。そう、俺がインタビューをする相手は、軽音楽部・・・
 いや、バンド部と言った方がいいのか?
 看板が主張しているからな・・・


 はぁ、行くか。
 俺は覚悟を決めて、扉をノックした。


「・・・・・」


 ・・・反応なしか?
 ・・・帰ってもいいか?


 方向を変え、戻ろうとすれば、


「はーい、お客さん?ノックしといて何処行くのん♪」


 肩を掴まれた。
 ・・・居たのか。

 はぁ。


「どうも、新聞部です。インタビューに来ましたが」

「んーあ、そう言えば、今日だっけ?うん。いいよいいよぉ。入ってぇ」


 振り向いた先に立っていたのは、かなり小柄な人。頭は茶色。
 勿論男子。
 確か・・・キーボードの『トイ』だっけ?


「みぃーんなぁー、今日、インタビューの日だよぉ」


 ジャン。と言う効果音と共に、前に出される俺。


「うわっ!眼鏡男子キタ!」

 アンタも眼鏡掛けてるけど。


「…目付きワリィな」


 アンタもな。


「気難しそうな顔してますねぇ」


 むしろアンタの方が、扱いずらそうだけど。


 とは、部室内にいた、軽音楽部もといバンド部のメンバーというか、バンドグループ『Fun』のメンバーで、多分上から、
 ギターの『フラフ』。
 ギター&ボーカルの『キョウ』。
 ドラムの『P』。
 だと思う・・・

 なんかもう、帰りたい。と思った俺に優しく(と言うか、苦笑いしつつ)言うのは、


「いらっしゃい・・・こんなとこだけど、ゆっくりしていってね」


 『Fun』のリーダーで、もう一人のボーカル(メインボーカル)の『シキ』。

 これで、『Fun』のメンバーは全員紹介できただろう。
 『Fun』は五人グループだから。




「早速ですが、インタビューを始めても宜しいですか?」


 『シキ』によって、ソファに案内された俺はとりあえず、任務を遂行する事にした。
 机の上の大量のスナック菓子のゴミは無視しよう。


「いいですよ。さて、何が訊きたいんです?」


 答えたのは、何故か『P』。
 まぁ、誰でも良いか。


「えーと・・・」


 俺は、部長に貰った(押し付けられた)資料を取り出した。


「あー、『Q1:皆さんの名前の由来を教えて下さい』」


 かなりの棒読みだが、気にするな。


「わぁ、ボー読みぃ!きみぃ、やる気ないでしょぉ」

「まぁ、ハッキリ言ったらないですね」

「きっぱり言いますねぇ」

「無気力眼鏡男子キタ!」

「・・・そういえば、先に君の名前を聞いてもいい?」


 あ。そう言えば、名乗ってないか。←すでに、『シキ』以外の声は大方無視を始めた。


「新聞部の吉村です」

「吉村君だね」

「下の名前わぁ?」

「・・・光紀ですが」

「じゃ、ヨッシーだね!」


 ・・・下の名前聞いた意味あるのか?
 まぁ何でもいい。


「で、Q1に答えていただけますか」


 俺は早く帰りたい。

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