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満月城の中心に有る部屋には、この城に仕えている者の一部の者しか入れ無い場所が有る。
「薔薇の間」と呼ばれているその部屋は、この世の贅を極めた調度品で設えて有り、正に薔薇の花の様に美しい部屋であった。
但し、部屋には窓が無く、巨大な鏡と、天井にはステンドグラスが有るので、部屋が暗い事は無かった。
この部屋の中に、全裸の女(いや、少女と言っても可笑しく無い位)が、3ヶ月位前から部屋の住人となっていた。
最初の1ヶ月はありとあらゆるドレスを日替わりで着ていたが、それ以降は、『お清め』や『お肌のお手入れ』と称して全裸で過ごす事を強いられていた。
少女は最初は戸惑っが、メイド達に大切に扱われ、敬われて、次第に慣れしまった。
然も、この城に連れて来られて以来、男を見る事と言えば、部屋に飾られている伯爵の肖像画のみであった。
色々な不安が有ったが、平民の自分が、伯爵夫人に成れると言う思いがそれを上回ったのも事実であった。
音もたてずに、二人のメイドが現れ、声を掛けてきた。
『ステラータ様、お身体のお手入れの時間で御座います。』
『どうぞ、こちらへ』
と、鏡の前に置かれた椅子に導かれた。
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