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玄関を上がった俺に、スリッパを勧め、廊下(?)の右側のドアを開け、
『助かるわ〜っ、この奥ね!』

っと指差す。
やはり、管理人程度にしか考えて無い様子

『何か飲む、缶ビール位なら有るけど?』

『あ〜っ、もうお構い無く』

『なら、お茶かコーヒーは?』

ランドリーと脱衣場を兼ねた前部屋で、浴室のスイッチを探す俺を余所にキッチンに向かう彼女。

『そうてすね〜っ、紅茶をお願いします。』
ドアから頭だけ出して答える。

『アイス、ホット、レモン、ミルク、砂糖は?』急かす様に質問が返ってくる。

『ミルクティーをホットで、砂糖は抜きでお願いします。』

『は〜い。』

やっと蛍光灯の交換に掛かった。

防水パッキングのせいでも硬かったけど、無事終了。

廊下(?)に出て、彼女に冗談半分に声を掛ける。

『お客様ぁ、他に不具合な所は御座いませんか?』

キッチンから出て来た彼女が、

『テレビの調子も・・・』

『いや、テレビは無理、しかも冗談ですから!』

『うん、冗談ですもの』

っと、またあの微笑み!

『アハハ、やられました。』

『お茶、どうぞ。』

キッチンの椅子も勧められた。

一口啜る、
『ロイヤルミルクティーですね、アールグレーに、ブランデーかな?』

どうやら、管理人よりワンランク上の様だ!

『流石ね、バーテンダーは』

『私、化粧落とすから、ゆっくりしててね!』

「ゆっくりしててね」って、「ぶぶ漬け食べる?」の同意語か?


紅茶を半分程飲むと、彼女が戻って来た。

『あ〜っ、さっぱりした。』

カチューシャで前髪をまとめた彼女は、意外にも若返ってた。

『あの〜っ、何方様でしたっけ?』

『ひど〜いっ、恵美子よーっ!』

『化粧品落とすと凄く若返ったからさーっ!』

『あらっ、「若返った」って何ょ、まだまだ若いんだぞ、でも有難うね。』

『そろそろ俺帰ります。』

びっくりしたのは、次の瞬間にキスされたからだ。

『ちょっとしたプレゼントよ、それから、雨が降ってきたよ。』

また、あの微笑み!
『あっ、やばっ!』

急に立ち上がったので、彼女にぶつかってしまい、バランスを崩す。
焦ってる事も有り、「藁にも縋る」様に彼女の腕を掴むけど・・・

椅子に逆戻り、俺に引っ張られた彼女が膝の上に「ちょこん」っと座り込んだ。

『御免なさい・・・』
膝の上の彼女の温もりが広がる。
そんな彼女は、俺に体を預けて、見上げながら微笑み瞳を閉じる。

えっ?

ええっ!?

合コンお持ち帰り率0%、それ以前に告白成功率0%、それより何より、交際歴・・・無し、の俺に、何をしろと言うのでしょうか?

たぶん、

さっきみたいなキスをした。

正解?

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あきゅろす。
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