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ノックの音と共に、俺の返事を待たずドアが細く開き、隙間から、モモが顔を覗かせた。
『ね〜ね〜っ、コレ教えて?』
っと、話し掛けてくる。
ベッドの上で、足のギプスの間に定規を差し込み、猛烈な痒さと闘っていた俺は、
『俺に恥をかかせない程度ならなっ!』
っと、素っ気無い返事。
ドアを開けノートや、教科書を抱えながら入って来るモモに、「ノックの意味を教えなきゃ」っと考えていた。
そんな想いとは裏腹に両腕が塞がっているせいで、ドアをお尻で閉めるモモが目に入った。
マナーも追加しなきゃ!
『モモっ、お前、ノックの意味、解ってるのか?』
俺の問い掛けに、
『てへっ』
って言いながら、ペロリと舌を出し、屈託の無い笑顔を見せる。
手にしていた物をベッドの上にバサバサっと置き、「ペタン」っとカーペットの上に女の子座りで座り込む。
『「てへ」じゃ無いだろ、それからな〜、ドアをお尻で閉めない!』
軽く肩をすぼめ、
『は〜いっ!』
っと応えながら、教科書を開いたりしてる。
返事は良いんだけど、理解はして無いな!
ギブスに刺さってる定規を指差し、
『上手く掻けた?』
っと訊ねて来たが、特に関心は無さそうだ。
『駄目、もう少し奥なんだよな〜っ』
っと、再び素っ気なく応えた。
『ふ〜ぅん、でっ、コレが解らないんだけど?』
げ〜っ、分数かよ!
必死に脳ミソを働かせ始める。
ちょっと、時間を稼がないっと無理(汗
『先ず、何が解らないのか説明しろよ。』
『分数同士の割り算がさーっ、こんがらがっちゃうの』
『確かに、混乱するよな!』
『でしょ、でしょ〜っ!』
『後ろを、ひっくり返して掛けるのは判る?』
『それ、それ、なんで、ひっくり返して掛けるのよ?』
口を尖らさせて抗議してる。
『ん〜っ、じゃあ、コレなら判るだろ?』
ノートに円を描いて、真ん中かに線を引く。
『リンゴを半分こにすると?』
『え〜っ、コレ、リンゴなの?』
答えを促す為に無視。
『1/2個でしょ!?』
『それじゃ、1/2個のリンゴの中に、1/4個のリンゴは何個かな?』
ノートを見ながら、悩んでるモモ。
『絵にしてご覧!』
そう言われると、俺の描いた半分のリンゴを4等分する様に線を引き、
『1/8個!』
っと自信満々とベッドの上の俺を見上げる。
!
オイ、オイ!
違うじゃん!
それよりも、俺を見上げた拍子に、ボタンを留めて無いピンクのポロシャツの首元から、モモの胸の中がチラッと見えた方が、気になった。
ちょっと間が空いてしまった。
気を取り直して、
『1/4個を描いてみなよ』
モモが、ノートに向かう時に俺の視線は、胸元に向けられてしまった。
下を向いて、1/4個のリンゴを描いているモモの胸元は更に大きく空いている。
最近、膨らみ出した、モモの胸の盛り上がりが眩しく、もう少しで乳首も見えそうな位だった。
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