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あなたのぬくもり
刀に宿りし妖女


イタリアにあるヴァリアーの古城に着いた途端、恭香は猛ダッシュした。


「ちょっと…!」


雲雀はお土産やらなんやらを大量に持たされているので走れない。


『雲雀君早く早くっ!』


たった一週間ぶりではあるが我が家に帰って来て本当に嬉しそうに笑う恭香を雲雀は少し微笑みながら見ていた。


「恭香様!お帰りなさいませ!」

『ただいまっ』


そのまま恭香の後をすたすたと着いて行こうとしたら数人の男に囲まれた。


「何…?」

「お前何者だ!!全身黒なんて怪しいぞ!」

「恭香、君ん家の警備員はみんなバカなの?」

『あははははっ!先行きますね雲雀君!頑張って下さい』


そう言い残して城内へと消えた。


その後咬み殺されそうになった警備員は目の前にいる少年がボンゴレの守護者だと知らされ、土下座して城内へと通した。


「最初から通せばよかったのに。ほんと無知って怖いね。それより…恭香……咬み殺す!!」


----


『スクアーロッ!!!!』

「う゛ぉっ!?」

「恭香〜相変わらずね〜♪」

「王子以外に抱きつくとか心外だし」

『ごめんねベル』


久しぶりのヴァリアーに恭香は瞳をうるうるさせたがすぐに真面目な顔になる。


『今日帰って来たのはね…』

「分かってるよ恭香」


え?と不思議そうな顔の恭香の頭にマーモンが乗る。


「霧の守護者が拐われたそうじゃないか」

『マーモン…なんで知って……』

「俺達も知ってるぞぉ。ボンゴレの暗殺部隊だからな。それくらいの情報はすぐ連絡されるんだ」


なるほど!と納得しているとルッスが口を開いた。


「恭香…やっぱりアレを使うの?」

『ううん。持っておくだけよ。本当にピンチになったら使うね』


にこっと微笑む恭香をルッスは優しく抱擁する。


「貴女はヴァリアーの家族…私達より先に死んだりしたらダメよ?」


その言葉に恭香は涙を流した。ルッスは辛い時にいつも優しく心をあたためてくれる。恭香は母親代わりのルッスが大好きだ。
そんな母と子の光景を誰もが微笑んで見守る中、空気を読まずに邪魔をする者がいた。


「見つけた…」

『あっ!雲雀君!』

「この屋敷無駄に広いのが気に入らない。どこの扉を開けてもいないし」

「う゛ぉい!ちょっと待て!てめぇボスの部屋の扉は開けてねぇだろーな!?」

「開けたよ」


きっぱり言い放った。当の本人は"何か問題でもあるの"という顔をしている。


「中に誰もいなかったのかしら〜?」

「いたよ。でも扉を開けた事に気付かなかったみたい」


なんという奇跡。


「よぉ雲の天才君♪俺の方が天才だけどね」

「君ともう一度戦いたいな」

「うお゛ぉい!お前ら後にしろ!!ι」


お互いにトンファーとナイフを取り出した所でスクアーロが止めに入る。ここで本題に戻った。


「恭香来い。アレを出す」

『はい…!』

「僕も行くよ。彼女を咬み殺さなきゃいけないからね」


恭香、雲雀、スクアーロの三人は地下に着く。暗闇の中に立派に出来た大きな扉があった。


「開けるぞ」

ぎぃぃ…


刹那、
青い光が部屋いっぱいに広がり恭香を包み込んだ。彼女は光に向かって話しかけた。


『雪代恭香、貴女と再び戦場を共にする事を心に決め戻ってきました。』


雲雀は静かに恭香と青い光を見つめ続ける。途端、青い光は綺麗な女の姿に変わった。


「久しぶりね恭香。我と共に戦う覚悟が出来たというのか」

『はい。貴女と共に新たな仲間の為に戦うつもりです』


なんの事だか雲雀には全く分からない。


「ほぅ…新たな。そこにおる黒い少年が新たな仲間の一人なのか?」

『はい』


女は雲雀をまじまじと見る。雲雀は睨み返す。


「なかなか面白い奴だ。そなたの名は?」

「……『雲雀恭弥よ』ちょっと…」

「では雲雀、そなたに願いがある」


恭香と雲雀が女を凝視する。女が雲雀にするお願いを恭香は知っていた。



(雲雀君にあまり重荷をかけたくない)

(恭香…?)

(我との約束、そなたなら守ってくれるはず)



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