あなたのぬくもり
白蘭
「ん…」
目を開けたクロームは豪華な部屋のベッドにいた。
「ここ…どこ……?私…」
必死に記憶を辿りそして思い出す。
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人は滅多に入ってこない黒曜ヘルシーランド。クロームは留守番だった。
「犬…千種……」
骸様――
ガタン
「!誰!?」
振り返っても誰もいない。ゆっくりと辺りを見回して音の正体を探す。
不意に白いものが視界に入る。
「みーつけた♪ボンゴレ霧の守護者、クローム髑髏チャン♪」
男だ。
「正確には霧の守護者の片割れ…かな?まぁクロームチャンって事に変わりはないからいいんだけどっ♪」
「誰?どうして私の名前を知ってるの!?」
「うんうん♪見かけによらず威勢がいいね!君の質問の答えは後で教えるよ」
「後で?」
不安が入り交じる。
「クローム…逃げるのです」
「え……骸様…?」
クロームは戸惑う。いつも聞いていた声とは少し違ったから。
「クフフ…お前は僕が本物ではないと思っていますね。しかしそれは間違いです」
「どういう事…ですか?」
「僕は 」
骸の声が途中で途切れる。
クロームの体が冷たい床に倒れた。
「クロームチャン♪僕と一緒に来てね♪」
軽かったけれど攻撃をされた。この人は危ない。
「いや……逃げなきy!?」
足がピクリとも動かない。
「足の神経を一時的に止めるような攻撃…まぁ簡単に言えば刺激を与えたんだよ!アハハッ♪」
「〜!!」
「さぁクローム髑髏チャン、一緒に行こっか!」
―犬、千種……骸様………
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「そうだ私…!逃げなきゃ」
「どこに逃げるの?♪」
「!」
大きな窓の前に白い男が笑みを浮かべながら歩いてきた。
「ここどこ!?」
「起きた瞬間逃げようとするなんて元気だね〜♪じゃあ、君が最初にしてくれた質問から答えようかな」
「え…?」
目をぱちくりする。すると男は優しく微笑みかけて答えた。
「僕の名前は白蘭」
「びゃ…くらん?」
「そうそう!白蘭♪で、どうして君の名前を知っていたのかって言うと、
未来の人間だからなんだ♪」
「…未来?」
「今いるここはさっきいた黒曜から十年経った未来の世界!」
「うそ!」
「嘘じゃないんだって♪この新聞見てごらん?」
白蘭が差し出した新聞をそっと受け取り見てみる。
案の定信じられない事が書いてあった。
「××××年○月○日…」
「ねっ?ぴったり十年経ってるでしょ?…そんなに怖がらなくても大丈夫だって!!一週間後に君のボス達と待ち合わせしてるからさ」
「ボス…?」
楽しみだな〜♪と子供のようにはしゃぎだす白蘭にクロームはただただ怯えていた。
幼いクロームは願うばかり。ボスに助けてほしい、骸に会いたい。
静かに一粒だけ涙を流した。
(私が意識を失う前骸様は何を言おうとしたの…?)
「僕は十年後の六道骸です」
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