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リボーン 短編集
ドライブ


今日はツナ、獄寺、雲雀、骸、クロームでドライブだ。あいにく山本、ランボ、了平はヴァリアーの元へ行っている。

運転は獄寺。助手席にはクロームがちょこんと座っている。
対する後部座席は雲雀、ツナ、骸。鬼のような二人に挟まれたボス。
嫌だと言ったらどうなるかは目に見えているから言えない。


座席が決まったところで車は発進した。


「クフフ…この面子でドライブなんて久しぶりですね」

『この面子でドライブ初めてだよね?』


沈黙。


『え…なんかごめん……』

「十代目は悪くありません!!悪いのはそこにいるパイナップル野郎です!」

「なっ!誰がパイナップルですか!」

「うるさいな。黙ってくれるパイナップル」


こうして喧嘩が始まるのだ。それを宥めるのがツナの仕事でもある。


「あ、十代目。シートの下にパイナップルの缶詰入ってますよ」

『なんであんの!?』

「パイナップルの目の前でパイナップルを食してみたかったんです!」

「獄寺隼人、いい加減にしないとただじゃおきませんよ…」


心なしか骸が涙目に見えるのは視力の衰えだろうか。


「けっ。お前に脅されても怖くないっての」

「もう頭にきました!」


そう言って骸は獄寺の目を両手で塞いだ。お気付きの通り、獄寺は只今運転中だ。


『わぁ!骸のバカ!!やめろ離せよこの手!』

「くそパイナップルが!!十代目!一旦停めますね」

『是非そうして獄寺君!』


一安心だと思った矢先。車が凄い勢いで前進し始めた。


「嵐の人、それブレーキじゃない…!」

「何っ!?」

「クハハハ!ざまーみろですよ!!」

「君頭おかしいんじゃないの」


この状況で缶詰開けてパイナップル食べてる奴が言う事じゃない。


『骸!笑ってないで手をどけろよ!事故るだろ!?』

「クフッ。綱吉君と死ねれば本望ですよ僕は!」


またこのパイナップルはバカな事を言い出した。


「ちょっと待て!十代目が死ぬ時は右腕である俺も一緒だ!十代目を一人で逝かせてたまるかってんだ!」

「なんですと?」

『ちょっと待つのは獄寺君だよ!何で俺死ぬ前提!?てか運転に集中して!骸もノッてる場合じゃないから!』

「あ!ボス…帰ってきた」


前方を見るとボンゴレ邸が見えてきた。しかしこの状態でよく帰ってこれたもんだな。


両目を塞がれている運転手獄寺、
隣で静かにしているクローム、
獄寺の目を塞ぐ張本人のパイナポー骸、
そして缶詰のパイナップルを食べる自由人雲雀。


『こんなに緊張したドライブは初めてだよ全く…』

「安心するのはまだ早いんじゃないの」

『え?どういう意味ですか雲雀さ…』


ツナの目の前に飛び込んできたのはすぐ近くまで迫ったボンゴレ邸。おいおい。


『Σ獄寺君もう停めていいよ!』

「いえ十代目!俺、目隠ししながら車を車庫に入れてみたいっす!」


や め て く れ ! !


「くだらないな。一人でやって。とりあえず僕達は降ろしてよ」


雲雀はそう言うと獄寺の鼻をつまみ、缶に残ったパイナップル汁を口に流し込んだ。


「んっ!?ぐほおぉ゙っ!!」


咳き込む獄寺。やっと車が停まり地獄のようなドライブは幕を閉じた。


(ほんとに死ぬかと思った…)

(大丈夫ッス!十代目を一人で逝かせません!)

(それまだ続いてたの!?)

(骸様…)

(どうしました?可愛いクローム)

(また…ドライブしたいです…)

(おやおや…)



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あきゅろす。
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