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リボーン 短編集
嵐と雨のデンジャラスなスープ作り


「ははっ!獄寺のスープ凄いのな!」

「な゙っ!これはスープの神秘だ!」

お昼前、ボンゴレアジトのキッチンは賑やかだ。いつもは京子ちゃんとハルが楽しそうに雑談をしながら料理しているのだが今日は違った。雨と嵐の守護者がキッチンを占領している。ツナがスープを飲みたいと言ったのが始まりだ。

『獄寺君、山本…わざわざいいよ…』

「なんのこれしき!」

スープに生きてるタコを入れた奴が言う事ではない。何がスープの神秘なのか分からない。

「ツナ、俺のは大丈夫だぜ?」

ツナは先程から横目で見ていたが決して大丈夫ではない。山本が隠し味と言って獄寺にバレないようにチョコを入れたのをボスは知っていた。
おかげでさっきまで美味しそうな匂いがしていたスープが、今では異臭を放つ液体と化している。

「おい山本…なんでたまごスープが茶色なんだよ…」

途端に青ざめる獄寺。ごみ箱に目を向けた顔がひきつっている。ツナはごみ箱をそろっと見てみた。そこにあったのは紛れもなくチョコの包み紙。

「隠し味入れたからな!」

明るい調子で答える山本はおたまを右手でくるくると回す。おい、チョコが飛び散ってるぞ。後で拭いとけよ。

(に…逃げた方が良さそうだ!食わされる!)

「たまごスープ食いたいって言ったのお前だろ、ツナ」

『うわっ!リボーン!?そりゃ俺が言った事だけどさー…あれもうスープどころか、食い物じゃないだろ!?』
「ひでぇ事言う奴だな全く。かてきょーの顔が見てみたいぞ」

『かてきょーお前だから!てかこんな会話してる場合じゃない!!』

席を立ったツナの両手が捕まれた。ゆっくりと後ろを振り返る。

「ささ!十代目!」

「出来たぜ!ツナ!」

しまった。リボーンとの会話で時間が経っていたようだ。

『あの…俺〜…』

なんだこのスープは。獄寺のは器がタコでいっぱい。最早スープではない。
山本に至ってはスープじゃない。溶けたチョコとスープのだしが異様にミックスしていて不味そうだ。泣きそう。

『あー…俺用事を思いだし…』

「俺のが旨いな!」

「獄寺〜俺のだって負けねーぜ?」

(聞いちゃいねー!!泣)

「食うしかねーだろツナ。お前が言い出した事だ。それに…二人が丹精込めて作ったんだぞ」

はっ…。確かにそうだ。ツナの為にキッチンを占領して作った。頑固なハルを説得するのに時間がかかっただろう。

『分かった!食べるよ』

獄寺と山本が目を輝かせて見ている。

『(食べても死にはしない!)いただきます!』

---
「ボス…大丈夫?」

「無理するからだ沢田。いつまで経ってもアホだな」

クロームとラルに心配されツナは医療室。10分前に食べたスープにやられたツナ。いわゆる食中毒だ。その日から5日間、ツナは仕事ができなかった。


(それにしても山本が隠し味にチョコを入れるなんてな)

(絶対チョコ入れなかったら美味しかったのに…)

(ツナー!雑炊作ったんだ!食えるかー?)

(!!!)


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