短編(ひぐらし・うみねこ) 私の存在理由 「ぅ、あ……!ひっ、く…」 苺は私の腕の中で泣いている。 理由は単純明快。彼女の親友である古手梨花と彼女の恩師の公吉 喜太郎が消えたのだから。 今年の鬼隠しの犠牲者だと噂されている。 「大丈夫です。二人とも戻ってきますよ」 泣く彼女を包み込む腕に力を込める。 「そう、かな…ッ二人とも、ぅ…戻って、くるよね……」 今の私は魅音だ。でも苺にはすぐ私が“詩音”だと気付いてしまった。 私は、苺がこうして私の腕の中でで泣いている事が嬉しい。 そのうちにレナも、圭ちゃんも消して………苺は私のものにする。 私にしか頼れなくする。 私しか愛さないようにする。 そのために、梨花も公吉のおじちゃんも殺した。 “魅音”は監禁している。あの子は“私”がいた筈の苺の隣に長いこといたんだから、皆を殺す様を見せて……殺してやる。 私は貴方が愛しいの、苺。 愛しすぎて、狂っちゃったけど……。 私は、誰より貴方が愛しい。それだけが私をつき動かしてるから。 私の存在理由 (それは貴方への愛です) 080825 [*前へ] [戻る] |