戦国BASARA
外れたテンポで1,2,3
※男主、BL要素、流血表現、猟奇的表現が含まれます。閲覧に注意してください。
「いち」
ブシュ
「に」
ザシュ
「さん」
ズシュ
「よん」
ドシュ
軽やかな足取りで戦場を駆け抜けていく一つの影。
影が通った跡には道標の様に鎧を纏ったモノが血を垂れ流しながら倒れていた。
「さんじゅうはち」
ズシュ
「さんじゅうきゅう」
グシュ
「よんじゅう」
ザシュ
「Hey,苺!」
その声に影がぴたりと足を止めた。
「なあに政宗。今邪魔しないでね。ボク楽しんでるんだから……よんじゅういち」
ブシュ
そう言うと血に染まった刀を振り上げ、自分に近寄ってきていた男に振り下ろした。男は上半身を失い真っ赤な噴水を立て倒れた。
「ったく…」
その様を見て政宗は息を吐く。近寄った敵軍の兵に切りつけ、再度口を開いた。
「程々にしとけよ」
「よくわかんないよ…よんじゅうご」
ザシュ
数を数えながら人を切り続けていく影─苺─の口角は心底楽しそうに吊り上がっている。
……こんなだから兵の奴らに怖がられるんだ、と政宗はまた息を吐いた。
苺は何時もそうだった。戦が近くなれば幸せそうに笑い、戦が始まれば嬉嬉として人を斬り続ける。数を数え、嬉しそうに笑いながら。
そんな苺を伊達の兵達は怖がっていた。
「なあ苺」
「なあに、政宗」
「お前……楽しいか?」
「うん。政宗と、一緒に戦えて。……ごじゅうさん」
ドシュ
知っている。こいつは、ただ人を斬るのを楽しんでるわけじゃない。
「戦の時は、政宗と一緒になれる気がするんだ。…ごじゅうよん」
ブシュ
「ていうか…此前にも言ったでしょ」
刀をふととめ此方を睨む。
嗚呼、きいたさ。
何回でも、ききたいんだ。
外れたテンポで1,2,3
(今日はごひゃくさん回政宗と一緒になれたね)
(……そうだな)
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