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短編
こっち向いてよハニー



君はいつもそっぽ向いてる、







今日も今日とて可愛いあの子は何処かを見つめている。
羨ましくも綺麗な茶色の瞳が見つめているのは俺じゃなく、クラスメイトの多串くんもとい土方 十四郎だったりするのだ。

その瞳は話してるとき、授業してるとき、飯食ってるとき、いつでも土方だけを捕えている。しかし嬉しいことに鈍感な土方くんはなんにも気付かない。
可哀想な彼女は想いを告げることも、想いを気付いて貰うことも出来ない。
そんな無駄なことやめればいいのに。
各言う俺もまた至って無駄なことをしている一人なんだけど。


「苺ちゃん、俺暇ー」

「私は暇じゃないから。暇だったら勝手に帰って銀ちゃん」


相変わらずつっけんどんな態度も愛らしく感じる、どんなあまいものよりも。恋って不思議だ。
此処は教室、時間は夕方に差し掛かる頃。窓から見える校庭では、運動部が練習している姿が見える。
苺は窓際の自分の机で肘をついて校庭を見つめていた。…厳密に言えば、校庭で騒いでいる土方を見つめていた。

俺も苺の後ろから覗きこんでみると、土方はいつもの…近藤と沖田と騒いでいる様だった。
練習している運動部からの怪訝な視線にも気付かずにぎゃあぎゃあと喚いてる。
…苺はこんな奴の何処がいいのだろうか。何気無く飴を口に放り込み、そう考えてみる。
それでも苺は呆れた様な、でも楽しそうな笑みで土方を見つめてる。

そう、苺の瞳はいつも、常に、土方を見つめてる。

それに気付かない鈍感な土方も、気付かれないのに見つめ続ける可哀想な苺も、苺の想いを知ってるのに好きで何も出来ない馬鹿な自分も、
俺は全部嫌いだ。

だから、今日で終わりにしよう。


「なぁ、苺」

「何」


声をかけても窓の外を見つめたままの苺に、俺は息を吸い込んだ。


「俺、お前が好きだ」

「ふーん、…………………え」


苺の瞳が、やっと窓から外れる。


「だいぶ前からお前だけが好きだったんだよ、苺。」


その綺麗な茶色の瞳は、今は俺だけを見つめていた。






(知らず長い時がたっていたのか、口のなかで飴が溶けた)








────────
お久しぶりです、銀ちゃんが生徒やっほい。
飴とか夕方とか色々詰めて収集つかなくなったので結局飴しか拾えなかったです。←

こっち向いて、って言ったらムーミソしか出てこない。書いてる間、ねぇムーミン、こっちむいて、が頭でエンドレスリピート。
だから変になっててもムーミソのせいだと思ってください(最悪




090605

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