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NARUTO(短編)
最後にもう一度(イタチ/シリアス)+


「・・・行ってくる・・・」

そう言ってイタチはドアに手をかける。


『・・・うん』

暗い顔で見送る一人の女の子。


「そんな顔をするな、可愛い顔が台無しだ」

ふっと笑って女の子のそばまで行き、頭を撫でながらイタチは言う。


『イタチ死ぬ気なんでしょ・・・名前・・・知ってるんだから・・・死んじゃ、いやだ・・・よ』

泣きじゃくる女の子、名前をイタチが優しく包み込んだ。


「すまない・・・名前。でも俺はサスケに殺されないと意味がない・・・本当にすまない・・・」

イタチは小さく悲しい声で呟く。


『・・・・・・イタチ、名前の事忘れないでくれる・・・?』


「ああ・・・絶対忘れない。お前の事を忘れるはずがないだろう」

名前を抱きしめる腕に力が入る。


『うん、名前も忘れないから。イタチの事大好きだから。ずっと、ばいばい、イタチ』

名前はイタチを突き放すように抜け出すと精一杯の笑みを浮かべる。


一生懸命笑う、イタチに心配をかけさせないように。


それに応えるようにイタチは微笑む
どこか悲しさが見える笑顔で

もう一度名前の頭を撫でると立ち上がりその場にいた鬼鮫の方に目を向ける。


「行くぞ・・・鬼鮫。サスケ以外は頼む」


「・・・分かりました、」


そうして二人はアジトを出る
イタチは振り返ることなくその場を去る

その背中を名前は見えなくなるまで見つめた




一人残された名前




・・・・・・・

自然に涙が溢れ落ちる。

もうサソリ、デイダラ、飛段、角都もいない。

そしてイタチも
皆の事を思い出す


いつも遊んでくれたデイダラ

いつも笑わせてくれた飛段

いつも優しかった角都

いつも、勉強を教えてくれたサソリ

いつもそばに居てくれたイタチ




この“いつも”がずっと続くと思ってたのに




デイダラとサソリが出て行ってデイダラしか戻って来なかった日


飛段と角都が出て行って二人とも帰って来なかった日


デイダラがトビを連れて戦いに行ってトビしか帰って来なかった日





そしてイタチ





今はもういないイタチ





まだ・・・生きているだろうか




それとも、もう手の届かないところに行ってしまったのだろうか




『イタチ・・・皆・・・ありがとう・・・』

気付けばその言葉を口にしている
感謝しかない







みんなの分まで生きるから







一生懸命生きるから







end.
UP日.2011年1月6日(木)



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