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書く ―CHの二次小説を扱っていマス。
プレゼント(ホットで優しいココア風味)
12月25日
街中クリスマス。よい子のもとにはサンタさんが、夜枕元にプレゼントを置いてくれる日。


私のところには小さい頃からサンタさんが来たことはない。


クリスマスの次の日、サンタの話を友達から聞くとよく寂しくなったものだ。


大人になった今もなんだか浮かれた街が憂鬱で、
いつもこの日はできるだけ仕事場にいたい。

余計な事を考えたくない。


…のに今日に限って早く帰れたりしてしまうのだ。









「…ん。寒いっ」ハッとして目を開き顔をあげると見慣れた部屋にいた。
自分のマンションへいつの間にか帰ってきていたらしい。
昨日はいきつけのバーに行って一人で飲んだ。どうやってここまできたのか覚えていない。




ベッドに入らず、テーブルに顔を突っ伏して化粧も落とさずに寝てしまったようだ。



ふいに冷たい風が、部屋にヒューと吹き付け、髪がなびいた。


気付けば窓が開いていて、カーテンが風で揺れている。


空き巣かしら!?と部屋を見回してみたけれど、特に荒らされてる形跡もない。

よく考えれば、こんな高層の階で窓から侵入というのも難しいだろう。





ふと肩に毛布が掛かっていることに気付く。



「誰かいるのー?リョウ??」



返事がない。人の気配もない。

「気のせいか」

毛布を肩にかけながら立ち上がり、開いている窓を閉めようとすると



急に強い突風が吹き付けた。
目を思わず閉じる。

寒いはずなのに、なんだか少し暖かい感じがした。


突風が止んで
目をそっと開くと一枚の紙切れがひらひら舞っている。


手を差し出すと、そっとそれは手のひらに落ちた。


白い紙切れを裏返すと



愛してる




ひとことだけ、書かれていた。


寂しいという思いを、自分の中のどこかに追いやって見ないフリをしてきたのに。


不意をつかれた優しい言葉に、涙が溢れてくる。




「ちょっと!不意打ちとはズルいんじゃないの!?
しかもクリスマス過ぎちゃてるわよ!
アナタって本当にいつも間が悪いんだから」



涙を拭いながら空を見上げる。朝が近づいているはずなのに、まだ夜空が広がっている。



そのうちに白い、羽根のような雪がちらちら降り始めた。




「…でもありがとう。」
小さくつぶやきながら手のひらにある、愛してると書かれた紙切れにそっと口づけを落とした。


そして風にのせて紙切れから手を離す。



羽根のような雪と一緒にひらひら紙切れは舞い降りた。

そのまま彼のもとへ、羽根をつけて届いてくれればいい。

彼女は願った。






☆☆☆☆☆☆
冴子さんイメージで書いてみました。クリスマス終わりましたけどね(T_T)


メルヘンチックな話でございます。
いつもは強くて格好いい冴子さんも、人間ですから寂しかったりしますよね。



ちなみに余談ですが、いもこのうちにサンタは来たことありません。寂しい 。きっと煙突がないからだー!!って思ってます






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