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書く ―CHの二次小説を扱っていマス。
以心伝心(ミックスジュース味)
手はキツく紐で縛られ、あたしはボートにのせられていた。


すっかり空は闇が広がっていて、星なんか輝いている。



ロマンチックな夜景クルーズかと思いきや、あいにく人質だというこの絶望的な状況。




潮風に吹かれながら、遠くに見える街の灯りを眺める余裕がある自分が不思議だ。




多分そろそろ来てくれる。なんとなくそう感じるのは長年のパートナーの勘ってヤツかな






「シティーハンター様のおでましか」

隣でボートを運転しながら、額に傷のある男が、舌打ちしながら叫んだ。



リョウは片手でパイソンを構えながら、ボートを運転して、こっちに近づいてきた。

「リョウ!!」
あたしは思わず叫んだ。

傷の男は、近づいてくるリョウに向けて、銃を何発も発砲する。



しかしそんな弾が当たる訳がなく、リョウは確実に男の銃を撃ち落とした。




「クソッ」
思わず傷の男の口から漏れる。

しかし足元のズボンの下から、銃をすかさず抜き取るとそれをあたしの頭に突きつけた。




同時にリョウはこのボートに飛び移った。


「シティーハンター!銃を捨てて手を挙げろ。でないと女を殺す!」


リョウは素直にパイソンを目の前に放り投げた。

傷がある男の銃口があたしからはずれ、手を挙げた目の前の男に変わった。



瞬間にリョウと目がバチッと合った。



それを合図にすかさず私は傷の男めがけて、体当たりした。


「このアマぁ!!」
男はよろめきながら叫ぶと、あたしの頬を張った。


その拍子に海に向かってまっさかさまに落ちた。



「香ー!!」
海に落ちる寸前に聞こえたリョウの声。




さっきまで見えた星の光が届かない、静かな海の中ヘあたしは沈んだ。


どうにかしなくちゃと、きつく縛られたヒモをほどこうとジタバタしてもビクともしない。



いつもは袖口に潜ませているカミソリも今日に限って、忘れてきたらしい。
はあ…自分の不甲斐なさを悔やむ


段々息が続かなくなってきて、視界が霞む



こんなことで海に入るなら、今年ちゃんと海水浴行けば良かったなあ…リョウと一緒に





遠のく意識













「暑っ!!ここどこ。死んだの?私。」

ふと見上げると燦々輝く太陽。私は、今年買ってタンスの肥やしになっているスカイブルーのビキニを着ていた。



「ばあか。二人で海に行きたいっつうから来たんだろうが!」

水着姿のリョウがいた。

「あっそうなんだ」


思えば二人で海なんてゆっくり来たことなかったな。なんだか気恥ずかしいけど嬉しい。




「ねえねえリョウ」
隣をみると、忽然と消えたパートナー。

「アイツ!!またナンパしに行ったなあ。ったく…」

居なくなったリョウを気にはなったが、せっかくだからと砂浜から海に向かってあたしは、走った。
足に冷たい海水が触れて、心地よい。


もう少し水に浸かりたいと、ずんずん歩いていく。海水がお腹あたりまできたところで目の前に人影が現れた。


懐かしくて、優しいあの顔は…


「アニキィイ!!?」

「香。久しぶりだなあ。せっかく再会して嬉しいんだが、こっから先はまだお前には早い。
リョウが呼んでるからさっさと海から上がれ」

アニキはシッシッと手を払った。



そう言えばさっきから微かに聞こえる声。私を呼ぶこの声は……












ゲホゲホゲホ
口から水を吐き出して、むせた。


目を開くと前髪が濡れて張り付いたリョウの顔が現れた。


「大丈夫か、香!?」

リョウは少し安堵した様子。

「うっうん。あっそういえばアイツは!?」

パッと状態を起こしてキョロキョロしてみたけれど、リョウと私しかいないボート。


「あっアイツは、殺し屋としては終わったよ。
なんせ天下のシティーハンターのパートナーに手を出しちまったからなあ。もう再び、俺達の前にゃあ現れないだろうよ」


いたずらに笑ったリョウ。髪が濡れてなんだかいつもより魅力的で見とれしまう。



「どうした?香ちゃんボォーっとしちゃってぇ…もしや水も滴るいい男に見とれちゃった!?」


「ばっかじゃないの!!アンタみたいなもっこり男、水に濡れたっておんなじだってば!」




図星で顔が赤くなってしまう。恥ずかしくなって思わず話題を逸らそうと



「ねえねえそういえば、来年、私2人で行きたいとこあるんだけど…」



リョウは一瞬ポカンとした顔をしたが


「海水浴!!!」


2人で言葉がハモった。
瞬間、今までの緊張がほぐれたのと、リョウも同じことを思っていたことが可笑しくて笑いがこみあげてきた。







帰り道、海に溺れた時にみたアニキの話をリョウにしたら、優しく笑って話しを聞いてくれた。


「ねえねえ、明日2人で行きたいとこあるんだけど…」


私がつぶやくと



「墓参り!!!」
2人で言葉がハモった。







☆☆☆☆☆
夏の終わりのお話です。
ごちゃごちゃしたかんじの話になってしまった(反省)

もっと甘い話にしようとしたのに、最後の言葉が墓参りだなんて!!(笑)


今度この話の別バージョンを考えて機会があったらアップします。甘いやつをね




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あきゅろす。
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