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書く ―CHの二次小説を扱っていマス。
チョコケーキ(後編ーホットチョコレート風味)
それは、まだリョウの家に転がりこんだ最初のバレンタインのお話。





香は悩んでいた。今までは、自分が女子たちに、もらうことが多かった。


まさか自分があげる側になろうとは。



「香、ちょっと俺明日の朝まで、出かけてくるから寝てていいぞ」


「そぉ。わかった」

ガチャリと玄関を出ていくリョウの背中を見送った。



さてさて、ここからが戦場よ。拳をにぎりしめ一人意気込んだ。


キッチンに戻りパラパラ料理本をめくる。どうせ作るなら…と前々からチョコケーキに狙いを定めていた。


リョウに分からないように隠しておいた材料を戸棚から取り出す。



本を片手に、材料の分量を計る。
普通のご飯は大体の感覚で作れたりするが、お菓子は材料をきちんと計量しないと失敗する。
この日のために、何回か練習した中で学んだ。


計量した小麦粉や砂糖、バターなどを混ぜ合わせてスポンジになる生地をつくり、ハートの型に流し込んだ。


オーブンに入れて焼く。
その間に、チョコクリームを作る。
チョコクリームの味は、リョウのことを考えて甘すぎないように、料理本よりも砂糖を控え目にした。
この加減も何回か練習した中で、ベストな甘さにたどり着いた。


ちょっとアレンジでココアパウダーを足すという、香オリジナルの技も飛び出した。



生地がだんだん焼かれて、甘い香りがキッチンに充満してきた。
甘い香りを嗅ぎながら、メッセージカードを書く。



気持ちを伝えるって、大変なことだと思う。
恥ずかしがりやの私には、とても難しいことのように思えた。

甘い香りを鼻腔から吸って脳まで甘くなったのか、今日はペンがスラスラ動いた。



そうこうしてる間にケーキが焼き上がり、自慢のクリームでデコレーションを施した。

出来あがったケーキを箱に入れて、カードも一緒に封入。

「よし。できたあ」


現在夜中の一時。明日朝起きたら、一番でリョウに渡そう。


一人ニヤニヤしながら、甘い妄想をして布団に入る。アイツ喜んで食べてくれるかなあ…
布団の中に頭をもぐらせた。
目をつぶると甘い香が微かに残っていた。








朝いつものように目を覚まし、ジーンズと赤いシンプルなセーターを着てリビングに降りた。
まだリョウは帰ってきてないようだ。


甘い香りもすっかりなくなった部屋は、いつもの朝の風景だ。




ガシャ
玄関が開く音がする。




香の鼓動は急速に早くなった。
ケーキの箱を後ろに隠し持って、玄関へ向かう。

「おかえりー」
言いながらリョウをみると、紙袋いっぱいのチョコを抱えていた。

「な、なにそれ」問いかけると

「リョウちゃんってばモテモテだからね〜。
ところでなになに?香ちゃんもくれるのかなあ?」


おどけたように言うリョウに、なんだかムカムカして

「ア、アンタなんかにあげるチョコなんてないわよ!
アンタなんか全部そのチョコ食べて鼻血だして死ねー!ちょっと伝言板見てくる」

ケーキの箱をリョウに見えないように隠しながら、勢いよくアパートを飛び出して走った。



自分が最初に渡そうと思ったのに。

一人で浮かれて馬鹿みたい。




公園に入って、肩で大きく息をしながらベンチに座る。胸を押さえて息を整えていると


海坊主が缶ジュースを静かに差し出してきた。


「あ、ありがとう。海坊主さん。あっ!そうそう」

と言いながら、ケーキの箱を差し出した。

「これ、トラップとか教えてもらったお礼にどうぞ」

「あぁ。」


結局、リョウにチョコケーキを渡せないで終わった。

その代わりに、リョウが持ち帰ったチョコをやけ食いして3キロは太った。











「…ということがあったのよ。」
香の話を聞きながら、ケーキを食べ終えてコーヒーを飲むリョウがいた。




「あっ。あれか。食べたよちゃんと。」
さらりと言うリョウ。


「へ!?」
呆気にとられるあたし。



「あのケーキ…海坊主が俺のところに持ってきたぞ。
たしか素直になれない女が、あげる奴を間違ったとかで。
アイツが顔真っ赤にしてきたぞ」



「え゛ぇーー」


後から分かった新事実。


「ずっとそばにいてくれるんだよな?」


リョウはニヤリとイタズラに笑った




―リョウへ
いつもありがとう。リョウがそばにいてくれるように、私もこれからもずっとそばにいていいよね?香




☆☆☆☆☆
ギャーーす!バレンタイン終わったし。
間に合わなくてすみません。しかも微妙になってしまった(笑)甘くならない
チューとかさせたかった。泣


甘すぎないケーキ=二人の関係みたいな


チョコケーキのイメージはtopsです。うまいっすよ。あのケーキ。クルミがアクセントですよね








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あきゅろす。
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