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絶対服従のまほう
3


ドキドキとムラムラの相関関係で脳内が勝手にひとり歩きしてしまう。今だってバックルを弄る向かいの林の股間見てまたムラムラが押し寄せてきた。

きょういく・ちょうきょう
しつけ・べっど下のわごむ

脳内シュミレートでも輪ゴムの使用方法はわからないっ
オレピンチ

「また考えごと?人の股間ばっか見てないで座ったらどう」
「…じゃあ失礼します」

彼にはなんでもお見通しみたいだ。迷った結果、ベッドを背もたれにしてちょこんと座ってみる。林はその向かいの黒い一人用のソファーに座ってる。

組んだ足の長さに一先ずびっくり。そんで裾から見える骨の出っぱった丸裸のくるぶしに触りたい衝動が沸き立つ。

やばい
ムラムラがドキドキより勝って脳内シュミレーションが止まらない

「今日は大人しいね」
「そ、そうかなっ。別に普通じゃん」
「猫みたい」
「は?」

「借りてきた猫。意味わかる?」

オレだってそこまでアホじゃない
意味くらいわかる

だけどソファーからこっちに近づいてくる林に頭ん中真っ白け。

「犬のくせに生意気…だから」

からかう瞳に意地悪な唇。その持ち主によって隣のベッド完璧シカトで冷たい床にそっと押し倒される。

はじまりの予感に喉が鳴って
硬い肩先にツメをたてて

今だけは林だけの猫になる

「躾スタートかな」

ネコになる



「は、林っ」
「ん〜?」
「なにこの状況」
「ん〜」

語尾の上げ下げだけで会話されて戸惑ってしまう。
押し倒されて両腕に閉じ込められたまま約1分。ずっと見つめ合ってお互い観察して、そろそろオレの心臓がもたない。

せっかく期待に鳴いた喉も肩透かしに泣きだしそう。

「オレの顔そんなに面白い?」
「うん」
「…ひどい」
「まつ毛に癖あるなとか耳の形いいなとか、栗原見てるといろいろ楽しいよ」

通った高い鼻と低い鼻とがぶつかりそうな近距離。内緒話しみたいにささやかに告げられる。

嘘のような
ないしょの真実

「ならもっと見ててもいいよ。オレも林見てんの好きだから」
「そう、でももういいや」

やっぱひどい

「腹減ったし」
「ご飯食べてないの?」
「朝は食べない主義」

もう13時過ぎで昼だよ林

相変わらずフローリングと背中がくっついた状態でお話し中。下(オレ)ばっか見てるせいで普段しないメガネがずり落ちてきそう。

「でも今日は食べてもいいかな」
「オレが作ってあげようか」

あんまし自信ないけど
おにぎりかスクランブルエッグの2つに1つだけど

「いらない」

ほんとひどい

「栗原の、ここの所にあるホクロが食べてみたい」
「ホクロ?」
「ホクロ。」

そう言って右手で撫でられたのは鎖骨の窪み。ふつう気づかないような陰った部分だった。
その浅い穴をくすぐられて口から倍の二酸化炭素が排出される。熱くて湿ったCとOが林の指に合わせて漏れ出てゆく。

オレのよごれた二酸化炭素で林のきれいな部屋を満たしてしまいそうなくらい。

だから早くこのいやしい口を塞いでくださいな



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あきゅろす。
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