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絶対服従のまほう
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公道に面したレンガ調の塀の前。広い敷地にある洒落た家と、その家が掲げる“林”の表札がオレの鼓動を爆発的に速めてる。
爆発的心臓を携さえながらインターホンを押して早5分。

5分とか言ってドキドキしてるからそんな長い時間に感じられるんだよ
実際は30秒かそこらでしょ

ってゆう良識的な内の声も空しくほんとに5分経過してる。周りからしたら林さんちを覗く変態高校生だ。

オレ今日林と約束したよな
確かに家に招かれたよね?

携帯に電話しても出ない。あれは嘘だったのかオレが創った都合のいい林君か。

項垂れた先に見える手元の携帯が振動した。携帯横のキラキラ光るところが赤く点滅して、着信相手が恋しい人だと教えてくれた。

「はやし〜」
『ごめん…寝てたわ。今玄関開けるから入ってきて』

寝てた…
違う。それは林の照れ隠しだ
あの黒々シックな扉を開ければきっと言葉と裏腹にめかしこんだ林がいるはず

ガシャンッ

「開かない…」

ガシャンッという金属と金属がコンニチワした音色にオレ絶望。
ポジティブシンキングでめかしこんだ林を想像しながら、華やかな花壇を歩いたのにその肝心のドアが開かない。いや、開いたには開いたけど手も入らないくらいしか開かれない。

チェーンロックかかってるよねこれ
林からの無言の抵抗?

「あ〜悪いわるい。チェーン掛かってんの忘れてた」
「…あ、うん」
「はいどーぞ」

奥からバタバタ聞こえて内側から林がロックを外してくれた。招かれて中にお邪魔すると、玄関マットに立った林がいる。

ワックス使ってない直毛の髪。普段かけない黒ぶちメガネ。
そして寝巻きらしい白のTシャツに黒のスウェット。

まさに寝起き

「ほんとに寝てたんだ…」
「はぁ?寝てたよ。さっき言わなかったけ」
「だってさぁ〜なんてゆうか」

林から誘っといてそれはないよ

いたくガッカリしたオレを、上がりにいるせいで普段以上の高低差をもって林が見下ろす。寝ボケてるのか二重と柳眉の間が若干広く見える。

「あっ!そうゆこと。ごめんね、気づかなかった」
「うん。ひどいよ林」

オレの思うところを正しくテレパシー出来たのかにっこり微笑んでくれた。

「おはよう栗原」
「…ッ!」

そしておはようのチュー

「そんなとこ立ってないで中おいで」

なにやらご機嫌でオレを手招く。
奥へ進むスウェットの腰元から濃紺のパンツがチラチラして目の毒かもしれない。

勘違いから頂いたおはようのチューも揺れるパンチラも、朝から刺激的で悩殺されそう

とにかくバラ色の世界への扉をくぐった奇跡の瞬間だった。



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