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3人の日吉(跡日、謎)

分からない。
今の自分がどうすればいいのか。今の自分が何をしたらいいのか。
日々の練習の中で溜まっていく疲労とストレス。
そして気付かされる、己の未熟さ。

ずっと遠くにいるあの人。走っても走ってもその人には一向に追いつけそうになくて。
それでも止まる事は出来ない。否、止まるつもりもない。少しでもあの人に追いつくために。

「おい日吉、練習に身が入ってねぇぞ」
「…すみません、すぐ戻るので放っておいてもらえませんか」

あんたは俺が思っている以上に遠くにいる。
あんたの恋人になって、少しはあんたに近づけたと思った。でも違った。
むしろその差は開いていくばかりの様に感じた。

ああ、練習に戻らなきゃ…




「日吉、帰るぞ」
跡部さんは俺に気持ちに気付いてない。恋人なんですから察してくださいよ。俺だって悩み事位あるんです。

「すみません、ちょっと寄りたい所があるので先に失礼します」
「俺も付き合ってやってもいいぜ?」
「いえ、大丈夫です。先に帰っていてください」
「…分かった」

そう言って俺は部室を後にした。跡部さんに嘘ついたけれど仕方がない。
(今は一人でゆっくり考えさせてください…)



夢を見た。不思議な夢だ。
俺は深い暗い海の底に立っていて、周りは何も見えないままゆらゆらと波に揺れていた。
すると、上から小さな小さな光の柱と共に一人の男。

〈あなたは…?〉
そう尋ねると、その人は自分を日吉だと言った。わけが分からない。日吉は俺だ。
でもその人の眼はまっすぐこちらを見ていて、嘘をついているようには見えなかった。
するとその人は俺の手をゆっくりと握った。すごく温かい。

《日吉、言いたいことがあったら全部俺に言って。辛いことも何もかも一緒に背負うから。》

心が少しだけ軽くなった気がした。今一番言って欲しかった言葉だ。
眉目秀麗なその青年は俺を優しく包み込んで、そして、一緒に泣いてくれた。

そうして気がつけば、俺たちの周りに水は無くなって真っ暗な暗闇だけが広がっていた。

《じゃあ、俺の役目はここまでだから》
〈嫌です、行かないでください…っ〉

一人になるのが怖かったわけじゃない。暗闇が怖いわけじゃない。
ただこの人には傍にいて欲しいと心から思った。でもその人は無情にもすーっと消えていって。

すると今度は別の人がきた。さっきの人よりもいくらか柔らかい顔立ちの人。

〈あなたは誰ですか?〉
《俺は…君、かな》

また俺だ。俺は俺だって言うのに。
《心はいくらか晴れたみたいだね、でもそれだけじゃ駄目だ
前に進んで、少しづつでも良い。俺も一緒に行くから》

そういうと、俺の手を引いて歩き出した。嫌だ。今のまま跡部さんには会いたくない…
でも…この人と一緒なら俺も前に進める気がした。この人の優しさが、手から伝わってきている気がした。

たどり着いたそこは、柔く光が漏れている。それがこの暗闇の終わりなのだとすぐに分かった。
《じゃあ、俺はここまで》
〈…俺はここから一人で行かなきゃいけないんですか?〉
《うん、俺はこの先には行けない。でも、君を待っている人がいる》

そういい残して消えてしまった、わけが分からない。でも彼は進む勇気を俺にくれた。進める。
光に触れると一面、真っ白な世界になった。闇が晴れたようにすっきりとしている。
そしてそこに立っていた男。先程の二人よりも幼そうで、
どこかで聞いたことのある戦隊ものの歌を歌っていた。
《日吉君、俺と一緒に行こう?》
〈あなたも俺なんですか?〉
《そう、俺は君だよ》

そういい終わると、一直線に走っていった。ちょっと待ってくださいよ…
でも前を走る背中はとても逞しく、なんだか懐かしく感じた。
すると今度はいきなり止まる。もう、何だっていうんだ。

《…日吉君、君は言いたいことを全部吐き出して前に進む力を手に入れた》
《だから最後は乗り越えないといけない。乗り越えて、行くんでしょ?彼の元に》
《そんな心配そうな顔するなよ!お前には俺たち三人がついてるんだから!》

分かった。全部分かった気がした。俺がどうすればいいのかが。
考えるんじゃない。行動に表さなければ駄目なんだと。
俺は俺の方法であの人に追いつけば良い。それで、追い越せば良い。

向こうを見ると、先輩や、鳳や、樺地が居る。跡部さんももちろん居た。

《皆、日吉君を待ってる。早く行きなよ》

やさしく微笑んだ彼、そしてゆっくり消えていった。でももう怖くは無い。
ありがとうございます。そう心の中でそっと呟いた。


「おはようございます、跡部さん」
「ああ、昨日は何だったんだ?てめぇ結局まっすぐ家に帰っただろ」
「…何で知ってるんですか、まあ…ちょっとした悩み事ですよ」
「アーン?俺様が知らないことなんて無ぇんだよ。それより悩み事だ?
そんなんじゃいつまでたっても下克上なんか出来そうに無ぇなぁ?」
「余計なお世話です。いつか必ず下克上して見せますから」

あの夢の中の三人は結局誰だったのか分からなかった。
でも、すごく親近感を感じたからきっと俺だと言う言葉に嘘は無いのだろう。
また夢の中で会えたら…そのときはお礼をさせてください。









終わり。意味が分からない。ただの自己満足小説です。
ちなみに3人の男ってのはテニミュネタなんですよはい。
最初から、初代氷帝日吉役河合龍之介さん、氷帝Bの細貝圭さん、三代目氷帝の伊勢大貴さん。
分かります?分からないですよね?ありがとうございます。
ただ悩みまくった日吉を、日吉を演じた三人に救ってもらいたかったんだよねー
やっちまった感が拭えないけどあげちゃお。どうにでもなりやがれ。
続きもちゃんと書くよ。多分。

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あきゅろす。
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